「農民」記事データベース20100503-923-09

生活保護者に配られた米は
鳥も食べないくず米(2/2)

困窮者につけこむ貧困ビジネス

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生保費を不当に天引きされた

アパート入居者ら3人 返還求めて提訴

 佐藤さんをはじめ、アパートの入居者ら3人は2月8日、シナジーを相手取り、不当に徴収された約190万円の返還と、慰謝料900万円の支払いを求めて千葉地裁に提訴しました。シナジーは全面的に争う姿勢を示しています。

 シナジー側の答弁書には、「市販されている国産の米を支給しているのであって、……一般の家庭で食されているものである。原告らは、日本の農家が1年かけて作り、且(か)つ一般の方が食するものを、『粗悪な米』『美(お)味(い)しく炊いて食べられるような代物ではなくまずくて仕方ない屑(くず)米(まい)』といっているのである」とあり、佐藤さんら原告を批判しています。

 問題の米がどこのものか。新聞「農民」の問い合わせに対し、シナジー側は「こちらではコメントできない。弁護士に任せている」としています。

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貧困ビジネスの根絶を訴える(左から)佐藤さんと棗(なつめ)一郎弁護士=4月14日、千葉市

 佐藤さんは「生活困窮者につけ込む貧困ビジネス業者は許せない。業者を野放しにする行政の姿勢も問題です。こんなことが許されては、憲法25条の生存権が形がい化してしまう。シナジーは、米の出所を明らかにすべきです」と話しています。


貧困ビジネスの不当性を社会的に明らかにする

反貧困ネットワーク事務局長 湯浅 誠さんの話

画像 農民連食品分析センターの検査結果をみて、また米の実物を見て、「最低限のコストで、生かさず殺さず」のシナジーライフ側の姿勢がよく表れていると感じました。

 こんな米が「日本の農家が1年かけて作り、一般の方が食するもの」だったら、農家や消費者に対して失礼な話です。

 今までホームレスや貧困の問題について、社会の関心は低く問題化しませんでしたが、昨年の「派遣村」で、社会的な関心が高まりました。

 今回の裁判は、貧困ビジネスの不当性を社会的に明らかにし、訴訟に訴えた先駆的なもので、(1)不当に取られた生活保護費を取り返して、生活再建などの救済費用にあてる(2)被害にあう人を減らし、規制を強化する―ことが求められています。

 貧困ビジネスをなくしていくために、多くの市民団体や労働組合とのネットワークを広げていきたいと考えています。

(新聞「農民」2010.5.3付)
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2010年5月

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