生活保護者に配られた米は
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ふるい下米や奇形粒がぞろぞろ |
さらに米の表面を光学顕微鏡で観察してみると、米粉デンプンが結晶になったもののほかに、カビの菌糸や胞子と考えられるものが確認されました。
カビの菌糸や胞子と考えられるもの |
鮮度が低下した米は、脂肪酸の増加による独特の古米臭があり、食味を落とすことが多いとされています。分析センターは、次に、脂肪酸の量によって米の鮮度を調べる簡易判定試験を行いました。
米2グラムに判定液を加え、5分後に液全体の着色具合を確認するものです。鮮度がきわめて良好なものは青緑、鮮度が著しく低下したものは橙(だいだい)色になります。
検査の結果、はっきりした橙色となり、鮮度がきわめて低下していることが確認されました。
鮮度が低下していることを示す橙色 |
最後に、米粒の形を検査。一般に流通する米は精米後、ふるいにかけ、粒の一部が欠けたり、割れたりして、ふるいの下に落ちた米(ふるい下米)などを除いて、一定の大きさの米が出荷されます。ふるい下米は、鳥のえさやせんべいなどの加工用に使われます。
米穀公正取引推進協議会の「米穀の品質表示ガイドライン」では、米の品位基準を定め、うるち米として販売する際に、特に品位について条件を付す場合や品位の程度を米袋などに表示している場合を除いては、これに適合するものでなければならないとしています。
調査は、ガイドラインが定める目が網状の「網目ふるい」と、分析センターが独自に検討している「縦目ふるい」を使って行われました。
網目ふるいでは、米50グラムを網目の大きさ2・0ミリ、1・7ミリのふるいと受け皿を上から順番に積み重ねました。縦目ふるいでは、目の大きさ1・85ミリ、1・7ミリのものと受け皿を順に積み重ね、2分間振動させて、ふるい分けしました。それぞれのふるいと受け皿に残った米の重量を電子天びんで測定しました。
検査の結果(表1)、縦目のふるいでは、受け皿に90%が落ちました。米の品位の確認試験(表2)では、着色粒、砕粒がガイドラインの基準の倍もあり、異物含有率も基準を大幅に超えました。全体にカビの発生により、汚染被害を受けており、ほとんどが被害粒と考えられます。
全体的に、ガイドラインに適合するものではなく、被害粒が全体を占めることから、これがもし販売されたものであるならば、食品衛生法違反の可能性があります。
[2010年5月]
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