高まる農民連への期待担い 地域の核となる組織に
“変革の時代”切り開く運動と組織づくり
国民とともにまき起こそう
農民連 全国委員会ひらく
「地域再生の担い手となって生産拡大の先頭に立ち、“変革の時代”を切り開く国民運動を巻き起こし、自公政治にノーの審判をくだした農民・国民とスクラムを組んで強固な組織をつくろう」―農民連は1月18〜19日、東京・豊島区で、全国から100人余りが参加して全国委員会を開きました。総選挙後、農協が自民党支持を見直すなど新たな情勢のもとで、農業・農山村を再生する共同の運動が広がっていることや、民主党政権の戸別所得補償制度が自由化促進の条件づくりであること、そして税金申告と準産直米を柱にした「春の大運動」での組織づくりなど、リアルで意気高い発言が続きました。
“たたかう意思を固めあおう”
開会あいさつで白石淳一会長は、年末にJA全中の役員と懇談したことを紹介し「農民連との関係を強く太いものにしたいという思いをひしひしと感じた。この前向きな情勢を、運動の面でも組織づくりの面でもどういかしていくのか、たたかいの意思を固めあうことが大事」「輸入促進の民主党農政では農業・農山村は守れない。農民連の『要求と提言』がいまこそ求められている」と述べ「この会議を跳躍台にしよう」と呼びかけました。
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「運動でも組織づくりでも大きな飛躍を」と呼びかける白石会長 |
“2つの焦点”に対する運動を
常任委員会の報告(3〜6面)を行った笹渡義夫事務局長は、あらたな情勢のもとでの今後のたたかいの方針について、価格保障と所得補償を組み合わせた農産物の価格政策の実現と、輸入自由化を阻止するたたかいという農政の“2つの焦点”に対する運動を、農民・国民との共同で展開しようと提起。そして、今後の日本農業の動向を左右する“2つの焦点”のたたかいを成功させるために、「輸入自由化阻止・米価闘争募金」を広く呼びかけようと訴えました。
また組織づくりでは、村尻勝信副会長が、各県連が来年の全国大会に向けた目標を持つとともに、準産直米を税金の取り組みと並んで「春の大運動」として位置づけ、会員・読者拡大につなげようと提起しました。
戸別所得補償を
輸入自由化の手段にするな
税金・準産直米など発言意気高く
民主党農政をどう見るのか
続いて、真嶋良孝副会長が「民主党農政をどう見るのか」について、具体的な資料を紹介しながら詳しく報告。「輸入自由化の流れを急加速しながらスタートさせる戸別所得補償は、自由化促進の条件づくり。WTO・アメリカいいなり、財界べったりという『2つの聖域』にメスを入れないかぎり、農家経営の立て直しも自給率向上もありえない」と批判しました。(詳しくは次号で紹介)
「激変緩和措置」で安心できるか
討論では、17人が発言。来年度からスタートする戸別所得補償モデル事業について、富山県連副会長の水越久男さんは「チューリップは自給率向上にならないからと、助成金を1万円に削られた。これでは生産が続けられないと、農協組合長も農民連といっしょに農水省に要請した。その結果、『激変緩和措置』がとられたことは運動の成果だ。しかし確約ではないし、次の年度はなんら保障されていない。いっそう運動を強め、そのカナメとなる農民連を大きくしたい」と発言。また、北海道連委員長の山川秀正さんは「真嶋さんの報告を聞いて、『激変緩和措置』が講じられるからといって、とても安心できないことがわかった。生産費にもとづいた価格保障こそ、農政の柱にしないといけない」と述べました。
日米安保条約改定50年目となったこの日、沖縄県連会長の中村康範さんは、戦後、米軍が農民の土地を略奪してつくった基地を撤去させるたたかいを述べ、「日本政府が安保条約廃棄を通告すれば、沖縄も含めすべての米軍基地がなくなる。安保条約は経済的にも従属を強い、輸入自由化を推し進めている。南から“革新”の風を全国に吹かせたい」と、名護市長選挙の候補者ポスターを掲げて支援を訴えました。
青年部長の杵塚歩さんは「ハイチで起きている大災害の背景には、新自由主義がある。農村から追われ、都会に出てスラムに住む農民が犠牲になっている。日本でも農村から都会に出て働いている青年が『派遣切り』にあっている。根はいっしょだ」と告発。そして「地域を支え農民連の運動を担うために、農民組合を力に青年との結びつきを広げていきたい」と述べました。
組織づくりでは、石川県連事務局長の西忠恭さんが「福島県連の根本敬事務局長を講師に呼んで税金相談会を開いた。『税金の手引き』を真剣に読み、運動のイメージもわいてきた。仲間づくりに真正面から取り組んでいきたい」と力強く決意を述べました。
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“いまこそ農民連の出番”−各地から多彩な活動が報告されました |
運動と組織前進の条件はある
笹渡事務局長は討論のまとめで、「発言では、農民連が提案した『備蓄米買い入れ』や『日米FTA反対』などの請願が地方議会でどんどん採択されるなど、あらたな情勢のもとで農民連への期待が高まっていることがリアルに語られた。当面の運動のスタンスは、自民党農政にきっぱりとノーの審判を突きつけ、『農政を変えたい』という農民の思いを、まっすぐに鳩山政権にぶつけることだ。どの地域でも、運動と組織を前進させる条件はある。農民・国民との結びつきをおおいに強め、農民連が地域再生の核になってリードできる組織になろう」と強調しました。
続いて、全国委員会への常任委員会報告(村尻、真嶋報告を含む)、討論のまとめと決算・予算報告を賛成多数で承認しました。
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また、ハイチで起きた大地震災害と沖縄・名護市長選挙で「新しい米軍基地はいらない、つくらせない」とたたかっている稲嶺ススム候補への募金が呼びかけられ、出席者から15万円余りが寄せられました。(24日投開票の名護市長選挙で稲嶺候補が当選しました)
(新聞「農民」2010.2.1付)
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