「農民」記事データベース20091123-902-09

地場産野菜が学校給食に
地域が元気になった(2/2)

関連/地場産野菜が学校給食に 地域が元気になった(1/2)


全面的にバックアップする

すさみ町 橋本明彦町長に聞く

地産地消は、町の“宝”

 ――学校給食で、大胆なとりくみをしていますね。

画像 すさみ町は小さい町で、人口の減少や高齢化も急速にすすんでいます。自立していくためには、新しいことに挑戦する姿勢が不可欠なのです。住民が元気になることなら「失敗をおそれずにまずやってみよう」ということで、地場産の給食はその重要なとりくみの一つです。

 ――合併という選択は考えなかったのですか。

 一昨年、町長選挙に立候補したときは、「合併」をめざしていたのですが、就任してから考えが変わりました。すさみ町は山間部の集落が多いのです。大きな町になったら、そこに細かな目配りができなくなると考えました。

 ――小さな町のままでやっていく覚悟をされたということですね。

 単独でやっていくための工夫は必要です。しかし、小さな自治体でも、身の丈にあった行政をやっていけば生きていけると思うのです。

 たとえば、人口の高齢化はふつうマイナスと考えられていますが、考え方を変えると、高齢者には年金という基礎的な収入があるわけです。だから、大きな所得をもたらす産業は必要なくて、生きる意欲につながるプラスアルファがあればいい。それと健康。行政はそこに力を入れていく。地産地消のとりくみは、まさにうってつけです。

 ――野菜づくりがプラスアルファですね。

 もう一つ重要なことがあります。

 生産者は「子どもたち孫たちにいいものを食べてもらおう」と心を込めて野菜を作ります。子どもたちは給食で、地域の人たちの気持ちの入った食べ物をいただく。それは、ものが回るだけでなく、心がつながっていくことだと思うのです。

 農業はものを作ってきただけでなく、地域の自然の中で人を育ててきました。子どもたちがそれに気づくということは、すさみ町の宝が伝わっていくということです。

(新聞「農民」2009.11.23付)
ライン

2009年11月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2009, 農民運動全国連合会