地場産野菜が学校給食に
地域が元気になった(2/2)
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すさみ町 橋本明彦町長に聞く
地産地消は、町の“宝”
――学校給食で、大胆なとりくみをしていますね。
すさみ町は小さい町で、人口の減少や高齢化も急速にすすんでいます。自立していくためには、新しいことに挑戦する姿勢が不可欠なのです。住民が元気になることなら「失敗をおそれずにまずやってみよう」ということで、地場産の給食はその重要なとりくみの一つです。
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――合併という選択は考えなかったのですか。
一昨年、町長選挙に立候補したときは、「合併」をめざしていたのですが、就任してから考えが変わりました。すさみ町は山間部の集落が多いのです。大きな町になったら、そこに細かな目配りができなくなると考えました。
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――小さな町のままでやっていく覚悟をされたということですね。
単独でやっていくための工夫は必要です。しかし、小さな自治体でも、身の丈にあった行政をやっていけば生きていけると思うのです。
たとえば、人口の高齢化はふつうマイナスと考えられていますが、考え方を変えると、高齢者には年金という基礎的な収入があるわけです。だから、大きな所得をもたらす産業は必要なくて、生きる意欲につながるプラスアルファがあればいい。それと健康。行政はそこに力を入れていく。地産地消のとりくみは、まさにうってつけです。
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――野菜づくりがプラスアルファですね。
もう一つ重要なことがあります。
生産者は「子どもたち孫たちにいいものを食べてもらおう」と心を込めて野菜を作ります。子どもたちは給食で、地域の人たちの気持ちの入った食べ物をいただく。それは、ものが回るだけでなく、心がつながっていくことだと思うのです。
農業はものを作ってきただけでなく、地域の自然の中で人を育ててきました。子どもたちがそれに気づくということは、すさみ町の宝が伝わっていくということです。
(新聞「農民」2009.11.23付)
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