地場産野菜が学校給食に
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みんなカレーは大好き。「おかわり!」 |
カレーライスは子どもたちも大好き。おかわりする子が続々です。そして、このカレーライスの材料のうち、さつまいも、じゃがいも、たまねぎ、しょうが、にんにくは町内産。米は町内を含む県内産なのです。「地産地消」を推し進める同町では、学校給食の食材の50%以上(重量ベース、米を除く)を町内産でまかなっています。
10月15日の献立て |
とりにくとさつまいものカレー フルーツヨーグルト ふくじんづけ ぎゅうにゅう |
とりにく・さつまいも・じゃがいも・にんじん・たまねぎ・しょうが・にんにく・カレールウ・みかん・パイン・バナナ・ヨーグルト・さとう・ふくじんづけ・こめ・ぎゅうにゅう |
712Kcal 21.8g |
は町内産 |
これに目を付けたのが、給食センターの岡本さんでした。「子どもたちに安心で新鮮な地元の野菜を食べさせたい」と、学校給食への供給を打診したのです。しかし、朝市は多品目・少量の出荷ですが、給食となれば毎日、まとまった量を出さなければなりません。古田会長は「確実に調達できるのか、心配でした」と振り返りますが、「子や孫が食べる給食に自分たちの野菜を使ってもらえる」という会員のみなさんの喜びが勝りました。
2007年9月に供給を開始すると、「近所の子に『今日のトウモロコシはおいしかったよ』と言われた」など、さっそくうれしい手ごたえがありました。生産者もさらに張り切って、「新しくゴボウを作ってみた」「あれこれつくって寝る間もない」と、扱い品目や数量を増やしてきました。とくに、古田会長ら5人の生産者は新たに「コスモス会」を結成し、休耕田を給食専用の畑に転換。ジャガイモやタマネギなどを栽培して大量の注文に応えています。
さらに、生産の拡大とノウハウの蓄積を生かして、「ひまわり会」の野菜は、保育所や町立病院、お年寄りの給食サービスなどにも供給されるようになりました。
「ひまわり会」のお母さんたち。後列中央が古田会長 |
小規模な生産者の野菜を集めるため、形や大きさが不揃いで下処理に手間がかかったり、ほとんど農薬を使わないため、とくに葉物は虫に注意が必要、といった問題はありますが、「安心」や「新鮮」には代えられません。食材費が節約できたり、包装資材が不要という利点もあります。
「小さい町だからできる、という面もある」と岡本さん。400食程度なら、天候不順で予定の野菜が間に合わなくても、すぐに別の手だてを考えられます。畑を見に行って、その場で新しい献立を思いつくことも。
「『大根の葉っぱ、あるんやけど』とか言われてね、その場で変えちゃうんです」
いろいろなアイデアもすぐに実行に移せます。野菜のほかにも、目の前の海でとれるイカや、町特産のイノブタも給食に取り入れてきました。また、生産者には食材を供給してもらうだけでなく、子どもが畑へ出かけて、サツマイモの栽培を体験したりもしています。
月1回発行する給食センターのニュース『いただきます』には毎回、生産者が写真入りで登場し、生徒や保護者に親しまれています。
明日使うサトイモを確かめに。手前が岡本さん |
同町教育長の原口増夫さんは、「地元の農産物なら安心、安全ですし、フードマイレージが少なく環境にもやさしい。生産者も元気になって、いいことばかり」と言います。原口さん自身も、毎日、子どもたちと同じ給食を食べています。
しかし、35年前に給食センターを開設したときに1200だった配食数が、人口減少と少子高齢化で、今日では3分の1になってしまいました。なんとか地域を元気にしたいという思いは、町民に共通しています。「学校は何ができるのか。給食を通じて、子どもたちにふるさとをもっと知ってもらうことが、とても大切」と原口教育長。こうした思いは、給食職員や教員はもちろん、町長にも共有されています。
一方、岡本さんたちはこの秋、大麦の種をまきました。来年の夏、この麦が実ったら、子どもたちといっしょにみそづくりをしようと考えています。大豆は「ひまわり会」の会員が今年つくったもの。子どもたちが田植えや稲刈りに汗を流したもち米もあります。給食で使うみそも町内で自給しようという試みです。
小さな町の「地産地消」の夢は、いよいよ大きく育っていきます。
[2009年11月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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