「農民」記事データベース20091012-896-04

“FTAの共同研究”で一致

日韓政策協議

米価暴落・韓国の直接支払い制度・企業参入・地産地消で意見交換

関連/韓国全国農民会と農民連 ソウルではじめての政策協議


 農民連と、韓国全国農民会総聯盟(KPL)・韓国女性農民会(KWPA)との政策協議では、はじめに韓国側から、FTA(自由貿易協定)について「韓国と日本の農民にどのような影響を与えているのか、今後与える可能性があるのか、共同研究を行いたい」との提案がありました。これに対して農民連側は、提案に賛同することを表明。研究成果をどのように発表するかについては、今後検討していくことになりました。

 政策協議では、(1)最近の米価暴落について、(2)韓国の直接支払い制度について、(3)農業への企業参入について、(4)地産地消の取り組みについて、それぞれ両組織から報告しながら意見交換を行いました。この中で韓国側から、特に日本の政権交代に強い関心が示されました。

 韓国側からの報告では、最近の米価についてイ・ミョンバク政権が北朝鮮への援助米を中止したことや輸入米が増えているために米がだぶつき、下落していること。そのために大手スーパーが安売りを行っているなど、日本と同じような米価暴落が起こり、生産費がまかなえない実態が報告されました。イ・チャンハン政策委員長は「この秋には、生産費に見合う米価を求めて全国的なたたかいを行う予定だ」と述べました。また、ミニマムアクセス米の「義務輸入」が議論になり、日本側の「義務輸入ではない。輸入機会の提供にすぎない」との説明に、韓国側は「われわれも義務輸入だと思っていた。日本のたたかいに学んでいきたい」と発言しました。

 また、韓国政府はこの間、WTO(世界貿易機関)やFTAを推進するなかで、国内対策として7つの直接支払い対策(米価下落対策や条件不利地域対策、環境・景観支払い、FTA損害補償、廃業支払いなど)を講じてきました。しかしこれらの対策は、生産費が考慮されていなかったり、対象が限られていること、採択基準が厳しいなどの理由でまったく発動されない対策もあるなど問題点が明らかにされ、「農家の所得は下がりっぱなし。これらの対策はなんの役にもたっていない」と報告しました。

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真嶋さんがホワイトボードを使って説明。終日、熱心な意見交換が行われました

 政策協議を終えるにあたって、農民連の真嶋副会長は「韓国と日本の農業、農民を取り巻く状況がこんなにも似ているのかと、つくづく感じた。政府どうしが学びあっているようだが、たたかう運動の側もお互いに学び合うスタートになった。この努力をさらに発展させよう」と呼びかけると、KPLのパク・ミヌン副会長は「私たちは話し合いを重ねるたびに信頼を深めている。お互いを知り合い、そして学ぶ機会をさらに持ち続けていきましょう」と応えました。

(新聞「農民」2009.10.12付)
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2009年10月

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