韓国全国農民会と農民連
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関連/九州で日韓両国農民が交流 /日韓政策協議 |
農民連と、韓国全国農民会総聯盟(KPL)・韓国女性農民会(KWPA)とのはじめての政策協議が、9月24、25の両日、韓国のソウル近郊で行われました(記事は2面)。この政策協議は、今年3月に行われた両組織の定期交流で確認されたもので、農民連から副会長の真嶋良孝、女性部長の久保田みき子、新聞「農民」編集長の赤間守、国際部員の武田伸也の4氏。韓国側からは、KPLのパク・ミヌン副議長、イ・チャンハン政策委員長、KWPAのシン・ムンヒ事務局長、キム・キョンサン政策委員長など20人近くが参加。なかには、3月に来日し「もう一度日本の仲間に会って、お礼を言いたかった」と5時間もかけて参加した人もいました。KPL議長のハン・トスクさん、KWPA議長のキム・キョンスンさんもかけつけ、歓迎のあいさつをしました。
漢江をバックに農民連とKPL・KWPAの仲間たち(南揚州市八堂で) |
イ・ミョンバク政権は今年5月、景気対策と称して環境関連の公共投資「グリーン・ニューディール」を打ち出しました。この事業のうち、漢江(ハンガン)など国内の4大河川に約1兆3000億円を投じて、堤防やダムを建設、しゅんせつ工事をしようという計画です。
ソウルから車で1時間、南と北の漢江が合流する地域、南揚州市の八堂(パルダン)に着くと、有機農法で野菜づくりをしているKPLの仲間と消費者が迎えてくれました。
大統領選挙の時には、イ・ミョンバク氏も当地に来て、「有機農業は未来だ」と言って、その取り組みを賞賛する演説をしたそうですが、4大河川の整備事業によって、この地域では農地の6割が奪われ多くの農民が追い出されようとしています。
反対運動の代表、ユ・ヨンスンさんは「ここは水源地。いまから15年前に12人で有機野菜づくりを始め、日本に行って農薬や化学肥料にたよらない有機農業を学んできた」と自己紹介。いまでは90人以上の農家に広がり、ソウルを中心に3000世帯に有機野菜を供給しています。農民が主導して生協づくりや農業体験での交流、収穫祭など、消費者との連帯を強めてきました。
ユさんたち農民はこの間、消費者と一緒に反対運動に取り組んできましたが、イ・ミョンバク政権は今月にも工事を強行しようとしています。「ショベルカーがやってきたら、私たちは体を張って阻止するつもりだ。ぜひ、日本の仲間にも知らせてほしい。そして、工事を阻止するために力を貸してほしい」と訴えていました。
農家の案内でイチゴ・ハウスを視察 |
真嶋良孝さんは、「この問題は日本の有力なマスコミでも取り上げられている」と新聞の記事を手渡し、「“グリーンニューディール”というが、イ・ミョンバク政権は、堤防を緑のペンキで塗るつもりなのか。環境を叫びながら農業つぶしとは、許せない」と激励しました。
ちょうどこの日は産直ボックスの日で、さっそく韓国の人たちも、ニラや枝豆、かぼちゃなど、野菜詰めのお手伝い。枝がついたままの枝豆を見て、「なぜちぎらないのか?」との質問に、「ちぎると輸入品と間違えるから。それとちぎる手間も大変」と答えると、「なるほど」とうなずいていました。またオクラを見て、「これは韓国にはない」と言うので、「生でも大丈夫。食べてみて」と教えると、「わお〜!」、身振りで“毛がささった”と顔をしかめていました。
産直ボックスをみて「毎回野菜の種類がちがうのに値段はどうしてるの?」など、次々に質問が… |
次に、須河内栄治さんのイチゴ苗の定植が始まったばかりのハウスや、因(ちなみ)泰光さんのオクラと春菊の栽培を視察。「イチゴだけでやっているのか」「このポールの太さで台風が来ても大丈夫か」「ハウスの温度調節はどうしているのか」など、矢継ぎ早の質問が続きます。
また、ちょうど稲刈り中の長崎洋一さんの田んぼでは、大型コンバインで刈り取る様子を見て、一同びっくり。さらにコンバインの値段を聞いて、全員「ワアォ!」と仰天。「どうやって返すのか」との質問に、長崎さんは「たしかに能率は上がるが、日本の農民はこの機械代を払うのに追いかけられている」と説明していました。
その後、バーベキューで交流。片言の韓国語や英語、そして身振り手振り、筆談で話し合い、韓国語の歌も飛び出し、暗くなるまで盛り上がり、FTAに対する考え、自給率の低さ、農民の地位向上などの課題を共有することができました。「今度は私たちが韓国へ行きますね」―固い握手をして熱い1日の交流を終えました。
[2009年10月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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