「農民」記事データベース20090706-883-04

BSE対策

安全対策緩和するな

厚労省に農民連、食健連が要請


 農民連と食健連は6月24日、厚生労働省にBSE対策や輸入食品の検疫体制強化などを求める要請交渉を行いました。

 今年5月、OIE(国際獣疫事務局。BSEに関する国際基準を定める国際機関)の総会が、「BSEのリスク評価にかかわらず、貿易できる牛肉の月齢要件を撤廃する」と決定。またアメリカ政府はこれまでも日本に「当面20カ月齢以下の基準を緩和し、将来的には月齢撤廃」を要求し続けています。交渉では「OIEの決定や、アメリカの要求に屈して、現在の安全対策を変更しないでほしい」と強く求めました。

 また、07年に国が補助を打ち切って以降、すべての都道府県が自前の財政で継続している国内産牛のBSE全頭検査について、「全頭検査されているから、消費者は安心して牛肉が食べられる。今後、財政難から全頭検査をやめてしまう県が出たら、検査されているものとそうでないものが出回り、国産牛肉への信頼が揺らいでしまう」「国が予算を復活させ、責任を持って検査を継続してほしい」と要請しました。

 厚労省側は「OIEの決定は出たが、日本の安全対策は食品安全委員会に従うので、すぐには直結しない」と弁明する一方、「アメリカの緩和要求により、07年から日米間の技術会合が行われ、現在結果を取りまとめ中」と述べ、牛肉輸入の規制緩和の可能性を否定しませんでした。また、全頭検査についても「廃止した予算の復活は難しい」の一点張りでした。


 ◇訂正 6月22日付「農民連の要求と提言」のうち、「ずばぬけて高い日本の農地の人口扶養力」の記事中に誤りがありました。「一粒の種から30粒しか収穫できない小麦に対し、米の収量は100〜120粒」を削除します。おわびして訂正します。
 記事はFAO(国連食糧農業機関)の統計を使って試算した『日本の米』(持田恵三著)を参考にしましたが、データが古いうえに、実態とは大幅に食い違いがありました。実態は、栽培方法や品種によって違いますが、一粒の種から収穫できるのは、小麦で100粒程度、米で1000〜3000粒程度とされています。
 なお、農用地1ヘクタールの人口扶養力の試算にあたって、小麦と米の収穫倍率の違いは一切使っていませんので、この記事の主題には誤りはありません。

(新聞「農民」2009.7.6付)
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2009年7月

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