酪農危機(2/2)/酪農危機(2/2)
“自らの努力だけではもう限界だ”生産者乳価 大幅アップを飼料も資材も軒並み急騰群馬県安中市で酪農を営む白石力(つとむ)さん(52)は、妻と息子の3人で搾乳牛を47頭飼育しています。安中市内には農協に出荷している酪農家が16軒。そのうち9軒は担い手が50歳以下の比較的若い酪農地域です。「この2年間、かなり厳しくなっている」と白石さんが話すように、えさの値段が右肩上がりで急騰。配合飼料は2006年4月に1トン当たり4万5800円だったのが今年10月には7万1526円に。安定基金からの補てん金7650円を差し引いて、実質1万8076円の負担増になっています。 飼料となる牧草価格も平均で1キロ当たり49・4円から57・4円に上がりました。 白石さんが住む地域は、榛名、赤城、妙義、浅間など群馬を代表する山々を見渡せる山間地。傾斜地が多く、自給飼料を作りたくても稲作・畑作には向いていません。 資材費も経営難に追い打ちをかけます。たい肥施設の骨組みを含めたビニールの張り替えは1回300万円以上です。 一方、年間売り上げの5分の1を占めるスモール(子牛)の価格は2年前の2分の1から3分の1にまで下がっています。 JAの酪農部会長を務める白石さんは、酪農家への補助の延長を市に働きかけるなど、地域の酪農家が続けられるよう奔走。群馬農民連が農協などに呼びかけて2月に前橋市で開いた「畜産危機突破決起大会」に酪農家を誘って参加するなど若手を励ましています。 白石さんは言います。「来年3月に乳価が上がったとしても、それまでの負担を埋め合わせるものはなく、ずっと引きずらざるをえない。酪農家の経営努力だけでは限界。総選挙で、酪農家の努力が報われる農政への転換を望みます」
メーカー、量販店も応分の負担を明治乳業賃金・昇格差別撤廃争議団事務局長・村山東男(はるお)さん大手乳業メーカーは、ブランド品を高く売る一方、まともな牛乳は量販店と安く取引しています。メーカーの経常利益は右肩上がりで過去最高のもうけです。明治乳業は、明治製菓との経営統合で海外進出をもくろみ、国内のリストラを推し進めようとしています。 乳価を上げる場合、消費者に負担を転嫁するのでなく、メーカーがもうけを取り崩し、量販店にも応分の負担を求めるべきです。酪農民がいなくなったら、経営が成り立たなくなるからです。牛乳消費を後退させないためにも、メーカー、量販店はもっと「牛乳は健康飲料だ」とアピールすることが必要です。
牛乳価格調査
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[2008年10月]
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