環境と自然、くらしを守って(2/2)
乱獲防ぎ生態系保存 その名も「エコ・フィッシュ」少量多品種・新鮮が“売り”
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海で働く元気な若者たち
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定置網は百余年の歴史を有する伝統的漁法ですが、いまでは機械化・省力化がすすみ、クレーンなどを装備した揚網船です。乗組員の機敏な動きは、見ていて気持ちがいい。十五人のうち約半数は若者。なかには焼津市にある県立漁業高等学園をこの春卒業したばかりの十代もいます。「朝、早くてたいへんだね」と声をかければ、「いえ、もう慣れましたから」とエンジン音に負けまいと元気な返事がかえってきました。その脇で「半月も働きゃあ、慣れたもんさ」と頼もしそうにみつめる泉澤さん。
定置網の漁場に着くと、向かい合った二艘の漁船がロープを巻きつけて網を手繰り寄せ、みるみる網がせばまって魚がピチピチと跳ねだしました。山本さんによれば「今日は水温が少し高くて、普段より漁獲は少ない」そうですが、サバやアジ、カタクチイワシにトビウオ。それにクロダイも。若者たちは一本のロープをつたって向こう側の漁船に飛び乗り、さっそく水揚げです。「なるべく生きたまま活魚で出荷すれば値段はぜんぜん違う」と日東製網の松尾浩司さん。すべての操業が終ったのは、六時近く。海の風が乗組員の汗を吹き払ってくれたようなすがすがしさを感じました。
左から山本さん、松尾さん、泉澤さん
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水産庁では、国民一人が春にカツオのタタキを一皿増やせば自給率が一%あがるなどと呼びかけ、二〇一七年には六五%に引き上げようと計画していますが、「魚離れ」が進んでいます。
また、沿岸漁家の漁業所得は約二百八十万円で、年金や他の労賃で家計の不足分を補っているのが現状です。さらに、燃油価格の高騰が経営を直撃。イカ釣り漁業者が、燃油代への直接支援を求めて、いっせい休漁に踏み切りました。
山本さんは「私たちは八年前に『21世紀への提言』をまとめましたが、それはまさに食糧主権の確立そのものでした。食糧主権の確立を求めて運動している食健連の一員になれたことは、私たちの大きな喜びです。農業と同じように、水産業にも『構造改革』の波が押し寄せようとしていますが、みなさんといっしょにその実現に向け奮闘したい」と抱負を語っています。
[2008年6月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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