環境と自然、くらしを守って(1/2)
間伐作業、一手に引き受け 地域の振興にも一役買う森林所有者に利益還元
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多野東部森林組合の南参事(左)と小野塚さん
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その努力の一環として、組合は「提案型集約化施業」に取り組んでいます。これは、組合が森林所有者から利用間伐等の森林管理を受託し、その収入の一部を所有者に還元するというもの。
〇六年度は、組合が施業する地域を団地として七十ヘクタール設定し、施業内容や収支を示した「プラン」を作成。森林所有者に提案して説明会などを通じてプランを承諾してもらい、作業の効率化・機械化を図りました。〇七年度は、そのうちの三十ヘクタールで作業路網と高性能林業機械を用いた集約化施業を実施し、所有者に収益を還元しています。
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整備された森林(多野東部森林組合提供) |
「作業機器・機材は作業員が自分もちの組合が多いなかで、多野東部森林組合は、巡視車両、輸送車などの軽トラック、軽ワゴンのほか、チェーンソー(電動のこぎり)、草や小径木を刈る刈払機などを一式そろえている」(南参事)からこそできる取り組みです。
三十ヘクタールのスギ、ヒノキ林を所有し、組合に森林管理を委託している飯塚家茂さん(80)=藤岡市=は「高齢で森の管理が大変ですが、組合の若い人たちに、作業道の整備をしてもらい、障害木や細ものなどの伐(き)り捨て間伐をやってもらって助かっています」と信頼を寄せます。
組合は、同施業に取り組む「モデル組合」に指定され、ここ数年、テレビ、雑誌に取り上げられる回数が増えるなど、注目を浴びています。
南参事は今後の抱負を語ります。「施業の実施規模をさらに広げ、間伐材の有効な利用方法についても検討していきたい」
そういう点からも、森林組合が森林管理に果たす役割は大きなものがあります。ある地域では、林業の振興のために森林認証を取得し、森林管理から伐採、製材、加工、販売を通じて住宅建設まで結びつける、森林組合が中心となった地域ぐるみの取り組みを展開しています。環境保護の観点からも、間伐材や林地残材を使った木質バイオマスの利用も全国的に広がっています。
一時期に比べ、外材が高騰し、輸入量も減少。全体の需要量は減っているものの、国産材への需要が高まっています。CO2の吸収源として、温暖化防止にたいする森林の役割が注目されています。今後、林業を採算がとれる産業として再生させることが最大の課題です。
[2008年6月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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