ビア・カンペシーナ 東南・東アジア青年フォーラムに出席して
輪になって心一つに連帯・友情(2/2)
食糧主権確立へ青年の力を
関連/輪になって心一つに連帯・友情(1/2)
/ (2/2)
ダム建設反対に若い活動家が
親子五世代にわたる組織もできる
ケンサテンで
岩渕 ケンサテンでは、ダンプカーの荷台に乗せられて森に移動したんだけど、皆で歌を歌ったり、私も「ドラえもん」(タイでも放映されている)を歌ったりして、とても楽しかった。
高橋 青年が活発にダム建設反対の運動を担っていて、驚いたし、すごいと思った。長い運動の歴史があって、青年も親世代のたたかいを見ながら学んで、団結していると青年のリーダーが話してくれた。世代別に五つの組織があって、子どものころから自然に運動に触れて育っている。いいなぁと思った。
岩渕 村の中心部の寺院の横で毎日朝市が開かれていて、この静かな村のどこにこんなに人がいたんだろうと思うくらい、活気があってビックリした。
杵塚 森のキノコ、山菜、川魚などとても豊かで、村人の生活が豊かな自然に依存していることが伝わってくる朝市だったね。
岩渕 ダムができたら森も失い、自分たちの食べ物も買わなくてはならない。
杵塚 ケンサテンの人びとが、自然はその恵みを直接に受けている自分たちが守るのは当然だという考えで運動していたのがとても印象的だった。
同時に、森で取れた物を買って生きている町の人の生活もダム建設によって破壊されるということを明確に意識づけて、共同を広げていた。自然に依存しているのは日本の農家も同じで、日本でもこういう意識が明確になれば、分野ごとに区切られずに共同できるのでは、と思った。
目立つ日本人向けゴルフ場建設
企業進出で高い機械買わされ借金苦
岩渕 村の人は望んでいない日本人向けのゴルフ場開発が進んでいて、メタに行く途中の道路があちこち工事中だった。
杵塚 メタの有機農業は二十年前にポーパットさんという一人の農家から始まって、その前は、企業が進出して化学肥料、農薬、農業機械の“三点セット”を買わされ、自分たちの食べない市場向けのショウガなどを単一栽培していたって言っていたね。
岩渕 でも価格が高いのは最初だけで、また“三点セット”ごと別の作物に転換させられて借金だけが残るので、どうやったらこの負債の悪循環から抜け出せるのかと考えて、もともとの農業、持続可能な農業を始めたんだって。
高橋 タイではまだ食料が人びとに行き届いていないのに、農作物が自分たちの食料ではなく、換金のための生産になってしまった、自然を商品化してはいけないと言っていたのが、印象的だった。
岩渕 青年の“バンコクの大学を卒業したけど、生活できる十分な仕事は見つからず帰ってきた。親も農業では生活できないから都会での仕事をすすめることが多い”という話は、日本も同じだと思った。
杵塚 協同組合でも都市に出て行ってしまった青年を呼び戻したり、家族で話し合ったり、借金対策に取り組んでいるんだね。
高橋 一人毎月二十バーツ(約七十六円)ずつ組合費を積み立てているから、必要としている農家に資金を貸し出すこともできて、本来の相互金融が生きているのが印象的だった。
青年部をもっと大きくして海外の仲間と交流したい
高橋 フォーラムに参加して強く思うのは、農民連青年部を変えたい!ということ。当面、「夏の交流集会」を変えたい。生徒やお客さんという立場ではなく、一人ひとりが主役になれるような青年部を作っていきたい。
岩渕 北も南も農家が主人公の農業ではなくて、政府や多国籍企業が中心になっていることにショックを受けた。自分の国の農業や文化をもっと知りたい、そうすれば他国の人とももっと理解し合えると思う。
杵塚 これまでも農民連青年部も変わらねば、とは思っていたけれど、どう変えたらいいのかわからなかった。それがこのフォーラムで“こう変えていきたい”という姿が具体的に見えてきた。青年部活動をもっともっと楽しくしていきたい。
高橋 ビア・カンペシーナの東アジア地域の青年のメーリングリストも始まったし、もっと海外の青年たちと交流していきたいね。
(新聞「農民」2007.11.19付)
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