「農民」記事データベース20071001-798-03

東北豪雨

収穫直前の田畑 被害甚大

水田約2割も被害/倒伏の稲発芽心配/冠水の秋野菜ダメ

関連/県農協中央会と全農県本部に米価下落で申し入れ


 九月十七日から十八日にかけて、台風11号から変わった低気圧や前線による集中豪雨で、秋田・岩手などを中心に河川が氾濫。収穫直前の田畑が冠水・浸水し、深刻な被害をもたらしています。

 秋田県では約一万ヘクタール以上の田畑が冠水し、とくに県北地域では米代川とその支流が氾濫、水田の約二割が被害を受けています。北秋田市鷹巣町の中嶋明さんは「あっという間に水位がおとなの背丈まであがって作業場が浸水。なんとかコンバインとトラクターを運び出したが、乾燥機やもみすり機は使いものになるかどうか。もうすぐ収穫を予定していた矢先に、六ヘクタールのうち三分の一ほど泥をかぶった。なんとも残念だ」と肩を落としていました。

 岩手県南部の北上川沿いの地域では、冠水した田畑が広範囲にわたっています。奥州市水沢区黒石では、泥をかぶって白く変色した作物や、米を自然乾燥する“ホニョ”がなぎ倒されたり、杭棒に掛けた稲がはぎ取られるなど、無残な姿をさらしています。

 奥州市江刺区の高橋彦志さんは「堤防が決壊するのではないかと心配するほど激しく雨が降ったときは、ほんとうに不気味だった。幸い田んぼは冠水しなかったが、畑はすっかり水をかぶり、芋の子(サトイモ)の葉っぱだけが水面にゆらゆら揺れていた。秋野菜がすっかりだめになってしまった」と当時の様子を振り返っていました。一関市厳美町の佐藤勇喜さんは「稲が倒伏したところがあちこちにある。二〇日から高温の日が続くというので、穂発芽が心配」と語っています。

 米価下落が続くなか、さらに追い討ちをかけるような出来秋を控えての災害で、農家は米づくりが続けられるかどうか大きな不安をいだいています。いまこそ、被害実態の詳細な調査と経営再建に向けた早急な対策が求められています。


山形県農民連

県農協中央会と全農県本部に
米価下落で申し入れ

 山形県農民連は九月十八日、米価下落問題で県農協中央会と全農県本部とに対し、申し入れと要望を行い、対応した県農協中央会の山村達也常務らと懇談をしました(写真〈写真はありません〉)。この申し入れ行動には、遠藤重輔会長はじめ十人の役員や会員が参加。農協側からは山村常務のほか、全農県本部の斎藤多雅司米穀部長など役職員が対応しました。

 最初にあいさつにたった農民連の遠藤会長は、全農県本部に対し、今年産米の仮渡し金について、再生産を保障できる米価を実現するため、誠実に努力することなど二項目を申し入れ。県農協中央会には、深刻な米価下落に対し、政府に備蓄米の百万トン水準に見合う買い入れを求めるなど「緊急四項目対策」を説明し、ともに行動するよう要請しました。

 これに対し山村常務は、「緊急四項目対策は、農協中央会の考えとほとんど共通している。それぞれの立場でともにがんばりたい」と述べました。懇談では、品目横断対策や生産調整、担い手対策などについて率直な意見交換も行われました。

(山形県農民連 洞口昇一)


 訂正 九月二十四日付1面「ゆいまある」の記事中、「武藤善郎さん」のお名前は「善朗」の誤りでした。お詫びして訂正します。

(新聞「農民」2007.10.1付)
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2007年10月

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