「農民」記事データベース20070604-782-08

「農業つぶす貿易自由化にノー!」の声を(1/2)

国際フォーラム 韓国、フィリピン代表が発言

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平和・主権守るたたかい

韓国女性農民会総連合政治委員長 イ・ジョンオクさん

 私は、チンジュ(晋州)に住んでいます。KWPAは一九八九年に創立され、朝鮮半島の自主・民主・統一と、農業・農村の問題を結びつけ、女性農民の利益を守り、新自由主義に反対してたたかう組織です。

 日本で平和憲法の改悪が議論され良心的な韓国の人々も憂慮しています。ここにお集まりのみなさんは、日本政府に反対してたたかっている私たちの仲間です。

 朝鮮半島はいま南北に分断されていますが、一つの民族です。分断の過程に最も介入したのはアメリカです。韓国の民族・民衆運動の人たちは、アメリカに抗し、戦争に反対し、平和と統一のためにたたかっています。

 WTO体制により、アメリカ中心の多国籍企業が、韓国民衆にさまざまな圧力をかけています。韓国では、〇四年にチリとのFTAが締結され、農産物の輸入が急増し、農業が脅威にさらされています。チリの次はアメリカとのFTAだというのが現実になりました。

 韓米両政府は四月に交渉を妥結しました。それは、韓国にとって(1)輸出は増えない(2)雇用が増えない(3)国民の健康権、教育、労働権など公共性が破壊される(4)食料自給率が下がり、農業が破壊される―という内容です。

 韓米FTAは、アメリカ式の経済秩序を押しつけ、第二の日韓併合だと言う人がいます。FTA反対のたたかいを全国で繰り広げ、その先頭に農民が立っています。アメリカは、自らの利益を貫徹させようと、修正を求め、再交渉を要求しています。さらにBSE牛肉を押しつけ、輸入全面自由化を迫っています。

 韓国の農民運動はこれまで、新自由主義に反対し食糧主権を守るたたかいを進めてきましたが、今後は農民本来の仕事である農業生産への真摯(しんし)な取り組みにも目を向けなければなりません。持続可能で、安全な食べ物を生産し、国民とともに歩む農業が大事です。日本の地産地消の取り組みに学びたいと思っています。

 食糧主権、国民の健康を守り、子どもの未来を開くために、世界の民衆との結びつきを強めて、がんばります。


血で染まったバナナ輸出

フィリピン農村・農民組織全国連合会副代表 エヴァンジェリン・メンドーザさん

 フィリピンはWTO加盟(九二年)後、食糧の輸出国から輸入国に転落してしまいました。三千万ヘクタールの農地の多くが大地主の所有で、貧困は農村でとくに顕著です。

 フィリピンは世界銀行などに六百億ドルの対外債務があり、小規模農家への融資など、貧困軽減政策にお金を使ってはならないという構造政策が強いられています。農業・農民への補助金はカットされ、かんがい設備や農作業の機械化、道路網の整備や電力供給といった農村の発展のためのインフラ整備を、政府は行ってきませんでした。輸入品への関税も大幅に下げられました。

 唯一、残っている“輸出商品″といえるのが海外への出稼ぎです。政府はこの出稼ぎ収入をあてにしていますが、国内市場の発展なしには、本当の発展とはいえません。

 今年一月、中国とのEPAのなかで、百二十万ヘクタールという広大で肥えた土地を、バイオ燃料用の農業生産や鉱物採掘に貸し出すという契約が調印されました。これは農地改革を妨害して、フィリピンの農業を破壊し、環境を悪化させるもので、私たちは、フィリピン政府と中国企業に裁判を起こす準備を進めています。

 輸出用バナナは、ミンダナオ島の広大なプランテーションで、デルモンテなどの多国籍企業が作っており、これらの土地は農地改革の対象にもなっていません。バナナの下には、プランテーションでの搾取的な労働とたたかって謀殺された農民たちが埋まっており、その血の上にバナナは生産され、ほとんどが日本に輸出されています。

 バナナ栽培は農薬や化学肥料づけで、今まで一万人の農民がその影響で死亡しており、ミンダナオでは「多国籍企業とたたかって命を落とした方が、農薬で死ぬよりまだいい」とさえ言われています。このような「血を吸った」バナナを日本の皆さんにはぜひボイコットしてほしいと思います。

 私たちは、「WTOはノー!WTOは農業から出て行け」を掲げて、さまざまな活動を繰り広げています。ともにたたかいましょう。

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(新聞「農民」2007.6.4付)
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2007年6月

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