「農民」記事データベース20070514-779-03

座談会

おそいかかる重税、ふきだす要求 農民連の出番(2/2)

「春の大運動」をふりかえって
県連役員 大いに語る

関連/おそいかかる重税、ふきだす要求 農民連の出番(1/2)
  /おそいかかる重税、ふきだす要求 農民連の出番(2/2)


相談会で要望や悩みいっぱい

1年通じて勉強会や寄り合い

 多い税金に驚き農民連へ相談に

 坪井 所得標準による申告の廃止で、税務署そのものの体制もかなり変わっているようです。岡山市では、所得税関係の申告は駅のそばにある施設でしか受け付けませんでした。年寄りは大変です。相談にのるところがなくなっているんです。

 村田 ある役場の税金相談では、独自の収支内訳書を使って計算しますが、減価償却費の欄がありませんでした。それで税金の多さにびっくりして農民連に相談に来た人は、二百万円くらい減価償却費があり、それで還付されることになって会員になったんですが、そういう人がほかにもいるかもしれないと思って、減価償却費がゼロの人には全部電話して確認するよう、役場に要請しました。

 長谷川 合併した町村では、合併前の各町村でやっていたいろんなやり方があって、それを改めていない場合があります。

 たとえば、瑞穂では三月十五日の午後五時まで受け付けます。ところが石見地区では「この日は整理する日ですから来ないでくれ」とか、「昼時間は職員が食事を取る時間だから遠慮してくれ」とか、考えられないことです。

 仲間づくりや班づくりの芽が…

 竹島 農民連の税金ノートを使って計算したら「こんなにも節税になり、自分の経営が一目でわかる」というのが、初めて記帳した農家の共通した驚きです。農民連のノートに自分で記帳して計算する確定申告は、農家にとっては生活防衛の取り組みになっています。

 前年に会員になって申告した人が「国保税が三十万円下がった」と喜び、今年は集落の人たちに声をかけて新しい仲間を増やしました。集落を軸にしたこうしたケースがいくつか生まれ、集落単位の仲間づくりや班づくりの芽が出てきています。

 また「なんでも相談会」では、いろいろな要望や悩みが出されています。ある地域ではこうした声をきっかけに、一年を通じて鳥獣被害対策や農薬のポジティブリスト制、領収書の整理などさまざまな勉強会や寄り合いを開いてきました。そのつど会員以外にも呼びかけ、鳥獣被害ではアンケートも実施しました。こうした取り組みを通じて、この地域では二十人の新しい仲間を増やしています。

日常的な農家との“パイプ”痛感

総合的な取り組みこそ

 坪井 岡山でいま一番元気がいいのが山陽町の農民組合ですが、ここは三つの班が集まって全体の役員会をつくり、二カ月に一回はポジティブリスト制や税金の学習会などを行っています。そして、かならず会員が何人かずつ増えています。そういう日常的な活動ができる地域の班をどうつくるか、ここがポイントのひとつではないでしょうか。

 上野 これまでは税金で会員になっても、一年間ほったらかしでした。今年、篠山で十三人の会員が増えていますが、ものを作り販売に結びつけ、農民連とのパイプを太くして一年間ほったらかしにならんようにしようと話し合っています。

 竹島 農家の本業である生産にかかわる要望や悩みは、たくさんあります。この声をみんなで出し合って拾い上げ、農民連として対策をたてていくことが大事だと思っています。今年は、県下全域で「なんでも相談会」を一年を通じて定期的に、そして地域から出された要望をテーマに開いていきたい。こうした取り組みを通じて、たくさんの農家と農民連のつながりをつくり、「春の大運動」が始まるころには、農民連の会員になってもらう対象の人がそろっているという状態にしたい。

 村尻 今年の税金学習会は、材料がいっぱいあります。六月には住民税や国保税の増税でパニック状況が起こります。そういうところで悩んでいる人に声をかけるチャンスでもあります。私たちがその気になって取り組めば、かならず成果に結びつきます。

 坪井 所得税は申告者が自分で申告することになっていますが、住民税や国保税は賦課(ふか)だから、申告しない場合はかってに計算して割り当てるようになっています。だから申告しない人の税額は、ほんとはゼロなのに通知がくるということがずいぶんありますから、きちんと困っている人の相談にのれば、大きな力になれます。

 村尻 いぜんは、税金をやっていれば事足りるというところがありました。しかしいまは、ものを作って販売しそのルートをつくるということも含めて、農家の要求を農民連が見逃さずにちゃんとこたえていけるか、ということが求められています。税金だけでもないし産直だけでもない。総合的な取り組みをしっかり押さえていくことが大事ではないでしょうか。

 坪井 みなさんが話した内容は、全国にも共通する教訓だと思います。住民税や国保税の増税が目前です。消費税の増税も企てられています。引き続き、農家の暮らしを守る取り組みをひろげていきましょう。


 ◇お詫びと訂正 4月30日付3面「海老原恒男さん死去」の記事と見出しで、「恒男」は「恒夫」の誤りでした。深くお詫びし訂正します。

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(新聞「農民」2007.5.14付)
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2007年5月

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