特集 米価破壊の実態を追う
低価格米の正体が見えた!
くず米、古米、奇形米がゾロゾロ…(1/2)
農民連食品分析センターの調査で判明
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五キロ千二百九十円、千三百九十八円…。ドラッグストアやディスカウントストアに並んでいる低価格米。根強い人気ですが、その米を調べてみたら、粒径の小さいくず米や古米がゾロゾロ。こんな米でもあなたは食べますか?
米の選別に使うふるいの最小の網目は一・七ミリ。この網目から落ちた米は網下米またはくず米として加工用の原料などに回ります。取引価格は一キロ七十〜八十円。
農民連食品分析センターは、安売りの米にこれらの米がどのくらい入っているのか分析しました。
安い米ほど鮮度が落ち、砕米、奇形米が多い
東京都板橋区と埼玉県さいたま、和光両市のスーパー、ドラッグストア、ディスカウントストアを回り、その店の最も低価格で販売される米と、二千円前後で販売されている五キロ入りの米を二種類購入しました。
粒径検査は、三つのふるいを使って行われました。上から一・八五ミリ、一・八ミリ、一・七ミリのふるい、受け皿の順に積み重ね、全体で四段にしました。
一番上の一・八五ミリのふるいに、米袋から取り出した五十グラムの米を入れ、振とう機にセットして振り分けました。粒が小さい米ほど、網目をくぐり抜けて、下に落ちることになります。ふるい分けが終わったものの重さを量りました。
さらに米の鮮度を調べるために、米に判定液を加え検査。A(緑、鮮度極めてよし)、B(黄緑、鮮度よし)、C(黄、鮮度劣化あり)、D(オレンジ、鮮度極めて劣化)の四段階評価とし、補足としてM(三粒以上オレンジ色米の混入)を加えました。
調査結果について、分析センターの石黒昌孝所長は「おおむね千五百円以下で販売される米は、粒の小さい米、砕米、奇形米などの割合が高く、一番細かい一・七ミリの網目も大量に素通りします。また低価格米は鮮度も悪い傾向にあり、産年の記載のないものや、産地表記も『国内産』と書かれただけの複数原料米が多くなっています」と指摘します。
農民連ふるさとネットワークの横山昭三事務局次長は「一・七ミリのふるいで落ちるのが多い米は網下米を混ぜている可能性が高い。逆に千五百円以下でありながら粒ぞろいのよい米は古米のおそれがあります。『複数原料米』の表示は氏素性のわからない米と思った方がよいでしょう。『無洗米あきたこまち』は千七百円と価格の高いわりには、整粒も鮮度も悪い。無洗米は加工賃がかかるため、当たり前の原料を使えないのでしょうか」と話しています。
消費者も、農家も、米屋さんも怒る
ひどいこと
宮城県の稲作農家・鈴木弥弘さん(55)
稲作農家は、他品種が混ざらないように育て、刈り取り、乾燥に注意して2L(一・九ミリ)の節目(ライス・グレーダー)を使って、調整して出荷します。
農家は、こんなひどい米は作りません。米の流通規制緩和がこれほどひどいことになっているとは、びっくり。何をどのように混米したらこうなるのか、生産者をバカにした話です。
産直米と大ちがい
新婦人東京・豊島支部の島田紀子さん
いつも産直で食べているお米とぜんぜん違います。もうけるためにこんな米を混ぜて売るなんて、ひどいです。許せないですね。
産直で安全なお米を食べたくても、経済的にどうしても安いお米を食べざるをえない人もいるでしょう。でも、消費者からも声を上げて、こういうお米が出回らないようにさせたい。そして食の安全や農業の大切さ、新婦人産直の取り組みを考えるきっかけにしていきたいですね。
一目でわかる
八王子市で米屋を営む田倉勝正さん(62)
これはひどい。一目で見て、完全にくず米だとわかります。まともな米は一、二割程度じゃないでしょうか。販売単価に合わせるために、くず米を混ぜたのではないでしょうか。
米も黄色っぽく、古米だとわかる。産地があやしいものもある。「こしひかり」と表示してあっても、米屋で売っているコシヒカリと同一に思われたらかなわない。
こんなものを売ること自体、考えられない。安ければ、ひどいものでもいいということではだめです。
(新聞「農民」2007.4.23付)
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