「農民」記事データベース20070226-769-10

持続的利用を可能にする

「バイオ燃料提言」を発表

国際環境NGOなど三団体


農民連も賛同

 地球温暖化など環境問題がクローズアップされるなか、エネルギー資源について考えるシンポジウム「アジアに迫る温暖化と低炭素エネルギー開発」が東京都渋谷区のJICA地球ひろばで開かれました(写真〈写真はありません〉)。主催は、国際環境NGOFoEJapan、財団法人地球・人間環境フォーラム、NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク。

 シンポジウムでは、省エネルギーの必要性や水力発電をはじめ、化石燃料に替わる天然ガス、バイオ燃料などの「低炭素エネルギー」開発の現状や問題点について、各パネリストが報告しました。

 主催三団体は、「持続可能性に配慮した輸送用バイオ燃料利用に関する共同提言」を発表。各団体に賛同を呼びかけ、農民連も賛同しました。

 「提言」は、「気候変動防止のための方策は、単に温室効果ガスの削減を目指すにとどまらず、多様な側面からの『持続可能性』を考慮したものでなければならない」と指摘。

 日本政府が、バイオ燃料の利用促進を計画していることについて「現状の計画ではバイオ燃料のほとんどが輸入でまかなわれる見込み」であり、「パーム油やサトウキビ等から生産されるバイオ燃料の急激な需要拡大によって、不適切な農地開発や食糧需要との競合など、深刻な環境的・社会的影響が生じるおそれがある」としています。

 そのうえで(1)輸送用エネルギー需要を削減するための抜本的対策を実施すること(2)国内産・地域産のバイオマス資源、または食糧需要と競合しないバイオマス資源を優先的に利用すること(3)原料供給源が明確であり、サプライチェーン(供給連鎖)のトレーサビリティ(追跡可能性)が確保されていること(4)生産から加工、流通、消費までの全ての段階を通してトータルに、温暖化防止効果が見込めること―を呼びかけています。

 さらに、エネルギー原料生産のために(1)地域住民や生産・加工従事者の人権及び労働条件、生産・加工における環境影響に関し、当該国の国内法及び国際的な基準を順守すること(2)環境・社会影響評価及びその公開が適切に実施されていること(3)天然林及び自然生態系の破壊を伴っていないこと(4)開発に当たっては、地域住民の権利を尊重し、十分に情報を提供した上での自由意思に基づく事前の合意を取得していること。利害関係者との紛争が生じていないこと(5)排水管理、メタンなどの温室効果ガスの発生抑制、危険農薬の不使用、農薬の削減・統合的管理を行うこと。生産・製造過程において遺伝子組み換え生物が環境に放出されないこと―を求めています。


◇訂正

 2月12日号4面の「今に残るミカン山の簡易索道」の記事中、天びん棒を担ぐ写真のうち「一九四五年代」を「一九五〇年頃」に。文中、「急傾斜地の農道や索道、排水路の整備」のうち「排水路」を削除。「山頂に登ると…」の前に「一九八〇年頃に島を訪れた時には」を挿入します。訂正しておわびします。

(新聞「農民」2007.2.26付)
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2007年2月

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