「農民」記事データベース20070108-762-09

新春対談

いま、大いに語ろう
平和 憲法 教育 農業(3/3)

暉峻 衆三さん
農林水産九条の会呼びかけ人代表
三上  満さん
教育評論家・元全労連議長

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政府のいう「経営安定」は絵空事

 政財界一体で海外進出

 暉峻 安倍首相の国会演説をみると、農業は経済連携協定、例のEPAやFTAですね、この取り組みを強化して輸出促進を図るっていうんでしょう。これは経団連が出した「新内閣への要望」とまさにうり二つです。企業側の理論は、アメリカでもてはやされた“したたり”理論、トリクルダウンセオリーです。企業が元気になれば国民もうるおうというんですが、トヨタにしても銀行にしても史上最高の利益をあげているけれども、したたり落ちなくなっている。がんばり時の条件が、今、生まれているんじゃないですか。

 品目横断対策で、効率的な農業経営だけは残していこうとしていますが、北海道をみれば明らかなように不安定きわまりない経営です。今、オーストラリアとのFTAが大問題になっていますが、効率的で安定的な経営なんて絵空事です。

 三上 かつて自民党の支持基盤だった農民層のなかでも、今のやり方に反対して立ち上がる状況が広範に生まれていますね。

 暉峻 農協や認定農業者も含めて地元ではさめて見ています。「これでやろう」なんて活力は、今の農村にはありません。そこに彼らのたいへんな弱点があると思います。

 食糧主権は農再生の道

 三上 農民連が「食糧主権宣言(案)」を出しています。農業を通じてこの国がどういう国になろうとしているのか、それを喚起する書になっています。日本の農地の扶養力はアメリカの十三倍です。こんな豊かな農地を減反で遊ばせて、大量の食料を輸入する、しかも主食の米まで輸入して余った米を家畜の飼料にするというんでしょう。農民連だけのものにするのは、もったいない。すべての国民、特に若い人にうんと読ませたい。

 暉峻 農業基本法を見ても、財界が求める効率的な農業経営と言っているけれども、一方では食料自給率の向上も明記しています。政府は、あまりにも低い食料自給率を上げろという国民、農民の要求もある程度くみ取らざるを得ない。食糧主権と結合して、これを徹底的に追及し攻勢をかけていく。アメリカ中心でなく、過去の経験に学んだアジアとの本当の平和的共存を確立していくことによって、日本農業を再生していくことができるし、そういう条件も生まれると考えています。そういう点で農民連が、ビア・カンペシーナに加盟してアジアの農民と連帯して運動していることは、先駆的な取り組みだと思います。

 三上 私は千葉にある東葛看護学校で看護師をめざす生徒たちを教えていました。命の尊さを学んでもらおうと農業体験させます。そうすると、ものすごく変わるんです。日陰のありがたさがわかったとか、農家に行って野菜を食べたら朝の通じもバッチリになったとか、つめに土が入って黒くなり母の手を思い出したとか言う生徒たちに、私はこう言っています。「農の心を持ったナースになれ」と。農の心を持った教師がいてもいい。そういう農の心を持った、建設的で勤勉で困難を恐れない人格が育つ社会をつくっていく、そんな課題も農業にはあるんじゃないかと思います。

 家族的な農業で文化が花開く村というのは、宮沢賢治が描いたポラノの広場そのものです。ぜひポラノの広場めざして、がんばってほしい。

 暉峻 青森・野辺地町のコカブが全国的なブランドになったのも、ヤマセ(夏に吹く冷たい風)で貧困な土地というマイナス要因を克服して、土の中で育つコカブならヤマセでも大丈夫だとプラスに変えたからです。こういう力を大事にしていくことも、農民連の活動のうえで重要ではないですか。今年は、確信持って踏んばる時です。


てるおか・しゅうぞう 1924年岡山生まれ。東京大学農学部卒業後、東京教育大学教授を経て、農業・農協問題研究所理事長などを歴任。

みかみ・みつる 1932年東京生まれ。東京大学教育学部卒業後、都内の中学校教諭を経て、全国教職員労働組合委員長、勤医会東葛看護専門学校校長などを歴任。

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(新聞「農民」2007.1.1・8付)
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2007年1月

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