地域と密着、農の守り手活躍する農民連会員の農業委員(1/2)/活躍する農民連会員の農業委員(2/2)
七月に全国の約三分の二の市町村で農業委員選挙が行われます。小泉内閣の下で、農産物の輸入自由化、アメリカ産牛肉の輸入解禁の動きなど、農業つぶしが強行されています。農家の代表として、地域住民、消費者と力を合わせて、農地を守り、地域農業を活性化させるために、農民連の農業委員は全国で活躍しています。
瀬戸内に浮かぶ青いレモンの島 愛媛・岩城で困った時の頼もしい相談役宮脇政敏さん 営農から町の活性化まで農業の発展とまちおこしのために各地で農民連組合員の農業委員ががんばっています。愛媛県の青いレモンの島、岩城(いわぎ)島の宮脇政敏(みやわきまさとし)さん(75)=農民組合愛媛県連合会理事=もその一人です。瀬戸内海に浮かぶ岩城島。レモンやミカンなどカンキツ類の栽培が盛んです。かつて岩城島は、岩城村でしたが、二〇〇四年十月、周辺の弓削(ゆげ)町、生名(いきな)村、魚島(うおしま)村の各島と合併し、上島(かみじま)町(八千人)になりました。
合併で委員数は大幅減に「合併で、農業委員の数も減らされ、農家の声が行政に届きにくくなった。農家の意見が反映されていないとの不満もでています。メリットなんかありません」。宮脇さんは嘆きます。岩城島だけで十二人いた農業委員は、合併後、七人に減りました。上島町議も務める宮脇さんは長年、島の行政や農政に携わってきました。村の時代、農業委員を十三期三十九年(うち三期は会長)、村議(日本共産党)も八期三十二年務めました。 「議会など公務のない日はほとんど農作業」の宮脇さん。ミカンとハウスレモン、野菜の栽培を手がけています。農園のほとんどは、隣の赤穂根島(総面積二百六ヘクタールの無人島)。タヌキも時折現れ、牛を五頭肥育している島まで、三トンの農船で約十分かけて、ほぼ毎日通っています。
地域農業振興へ各種の助成金農業体験者の受け入れも行っており、レモン摘み、果汁搾り、野鳥観察などの体験メニューを楽しめます。趣味もパラグライダー、乗馬、日本舞踊、生け花と多彩ですが、「最近は忙しくて、なかなか時間がとれません」と笑います。旧岩城村は、農業振興のために独自の施策を実施し、合併後の町もそれを引き継いでいます。高齢化などで増える耕作放棄地対策として、荒廃農地の復旧に村が十アールあたり最大六万円を助成する「遊休農地再利用対策事業費補助金」を交付しています。 さらに新規就農者への支援として、岩城島に転入し、十年以上住む意思のある人で、農林漁業を営もうとする五十歳以下の人に、「農林漁業インターン事業」を実施。これは、経営ノウハウや技術を修得するための二年間に月十万円の研修費を支給するものです。
住民から「なくてはならん人」旧村のときから、こうした制度の創設に尽力し、農家の利益を守ってきた宮脇さんにたいして、住民から絶大な信頼が寄せられています。かつて一緒に農業委員を務めた砂川恵さん(69)は、妻の美砂子さん(65)ともども「島になくてはならない人。交通事故の解決から結婚問題まで、難題でも相談にのってくれる。おらんかったら(いなかったら)困ります」と頼りにしています。京都から、岩城島に移り住んできた古川泰弘さん(36)も「困ったときに最後に相談に行くところ。大御所です。自分たちが成功するまでがんばってもらわないと」と期待を寄せます。
造船を町の基幹産業として岩城島は、農業以外に、造船業が盛んなまち。宮脇さんは、造船を町の基幹産業に位置づけ、雇用増を図るなど、町の活性化に努力しています。「常に住民と接触し、相手の悩みに応える活動を心がけたい。どんな困難があっても、造船とレモン、ミカンを維持・発展させることが私の役目です。農業をやりながらでも、努力すれば地域振興ができることを実証したい」と決意に燃える宮脇さん。島を思う気持ちがひしひしと伝わってきました。
(新聞「農民」2005.5.16付)
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[2005年5月]
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