米安値 震源は市場まかせの小泉流「米改革」に(2/2)
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国民の主食
コメの需給と価格安定に政府は責任とれ
政府は、「輸入義務」だからと毎年七十七万トンも外米(ミニマムアクセス米)を輸入。そのうち処理できずに積まれた在庫は、昨年十月末で百四十八万トンにもなります。その倉庫・保管料だけでも年間百数十億円。こんなバカげた税金の使い方はありません。ミニマムアクセス米を返上し、本気になって米の需給と価格の安定に責任を持つことが、何よりも政府に求められています。
「稲得」「担経」も満額補てんされず
「米改革」は初年度から破たん
米価暴落の影響を一番受けているのが、産地の「担い手」といわれる大規模農家です。仮渡金も大幅に下がり、数百万円規模の減収。こんな時に「米改革」のメリット措置の目玉
とされた稲作所得基盤確保対策が農家経営を補うはずでした。
現在、この制度には約百万人の農家が加入しています。きちんと減反をして、この制度への拠出金と豊作によって生ずる過剰米処理として集荷円滑化対策への拠出(十アール当たり千五百円)も支出。ところが補てん額は、(表)のように基準価格が一万五千円で、今年産の米価が一万二千円に下落した場合、積立額が上限のため千五十円しか補てんされません。こうした制度欠陥から、四十一の道府県で満額補てんができないという事態になっています。
また、四ヘクタール以上(北海道は十ヘクタール以上)の農家が対象の担い手経営安定対策も、同じように積立分が上限であることと「基準収入」の低さで、まともに発動されるところはわずか十県。北海道や東北などを中心に十三道県では発動できないという異常事態です(表)。とくに北海道では、米価が一万一千円程度まで下がらなければ発動されませんが、「こんな米価ならとっくに離農している」と怒りの声が上がっています。
一方、減反はというと、六月の時点で、民間や政府に在庫があれば翌年から強化されます(生産目標数量が減らされる)。これが産地の売り急ぎに拍車をかけ、さらに米価を暴落させています。JA全農あきたの不正取引も、こうした背景があって引き起こされました。
このようなさまざまな制度の欠陥を改善するとともに、根本的には「米改革」を中止して、政府が国民の主食・米にしっかり責任を持つことが求められています。
「もう一つの流れ」つくろう
農民連は、〇四年産米を「ふるさとネット」と各産地の共同でほぼ販売をやりきりました。いま〇五年産に向けて、各地で計画づくりや集約に取り組んでいます。
初年度で破たんが明白となった政府の「米改革」や大手米卸に振り回される「米ビジネス」とはちがう「もうひとつの流れ」を、いまこそ「ルートを開くチャンス」にしておおいに取り組みましょう。
(新聞「農民」2005.5.16付)
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