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米安値 震源は市場まかせの小泉流「米改革」に(1/2)

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“米1万円時代近づく”

うそぶく米卸最大手の社長

 米価格形成センターの第十回入札が、四月二十二日行われました。平均落札価格は、六十キロ一万五千三百六十八円(グラフ)。二年続きの不作なのに米価が下落する異常事態が、今も続いています。

ここ15年間で最安値に暴落した米価

 米が余っているから安値なのかというとそうではありません。政府の需給見通 しでも今年六月末の在庫量は、民間も含めて二百六十六万トン。一日あたりの米消費量 が二万四千トンですから、十月二十日には在庫が「ゼロ」になる計算です。十月末では二十四万トンの不足。今年が冷害にでもなれば、外米のお世話にならざるを得ない事態です。

 こうした時に、米卸の最大手、(株)神明の藤尾益也社長は、業界紙(「商経アドバイス」四月七日付=左写真〈写真はありません〉)の取材に答えて、「十七年産米は、豊作・不作に関係なく下落し、限りなく一万円に接近。米価一万円時代の幕開けになる」と言い放ち、そのうえ農家に「信頼される米を供給しろ」と豪語しています。

 米価が一万円になれば、ほとんどの農家は大赤字。それを補てんする「稲作所得基盤確保対策」(稲得)も「担い手経営安定対策」(担経)も、あとで見るように欠陥だらけ。中小米卸の買収を重ねて米卸のトップに成り上がった(株)神明社長の発言は、自らけん引している米の安売りをさらに進めて一万円米価に強引に誘導する意思表明であり、日本の稲作の破壊宣言にほかなりません。

超古米まで放出して

米価の足ひっぱる政府

 こうした大手の横暴勝手を野放しにするのが、「民間にできることは民間に」という小泉改革路線にそって強行された「米改革」。農水省の石原葵事務次官は、米価の異常事態に対して、「東北、関東は豊作年だから、価格低下でも収量増でカバーできる」と、まったく冷酷です。

 北海道をはじめ史上最安値で苦しんでいる産地は、「豊作」どころか不作で「収量増でカバー」などできていません。それだけではなく、政府は百万トンにおよぶ超古米を市場にはきだし、米価の足を引っぱっています。

 農民連は、米価暴落が明らかになった昨年七月から「超古米の売却をやめろ」と再三、要求してきました。今日の事態は当時よりもさらに深刻になっています。しかし政府は売却をやめるどころか、いっそう力を入れて売ろうとしています。

 三月の入札で売られた政府古米の値段は(表)のとおりです。

政府米の入札による売り渡し価格

 さらに、ある卸関係者は、「食糧事務所の職員が卸や小売を回って政府古米の売却に熱を入れている」と言います。これは、国民の税金を使って米価暴落に拍車をかけていることにほかなりません。


「ダイエー」が東西で特売セール

コシヒカリ10キロ
大阪2980円、東京3380円

 大手スーパーは、競うように米の特売を繰り広げています。毎月一日の日には「一の市」という特売セールを行っているダイエー。

 激戦区といわれる関西では、五月一〜二日で、ダイエー各店舗の特売がテレビコマーシャルや新聞折込みで大々的に宣伝されました(チラシ)。大手卸(株)神明が製造した滋賀県産コシヒカリが十キロで二千九百八十円(税込み)です。大阪のある米屋さんは、「三等米などの格落ちの原料でも使わない限り、こんな価格は出てこない」と話しています。

 また高層マンションが建ちならぶ東京・江戸川区の住宅街にあるダイエー葛西店では、茨城県産コシヒカリが十キロで三千三百八十円(米卸はミツハシ)。売り場に入ると、肉類ケースの前のフロアに、「本日限り」の米袋がドーンと積まれていました(写真〈写真はありません〉)。

農家は大変なんでしょうね

 一袋買い求めたお客は、「お米は毎日食べるから、特売の日に買っています。安くてたすかるけど、農家の人たちはたいへんでしょうね」と話していました。

 「一万円米価でも信頼される米を供給しろ」と農家に言い放つ神明の藤尾社長。銘柄米の安売り・買いたたきで暴利をむさぼろうというのでしょうか。

(新聞「農民」2005.5.16付)
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2005年5月

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