とんでもない! 1万7100円の米が仮渡金9900円新潟
米ビジネスが台風被害に追いうち米改革がなかったらこれほどの痛みもなかったはず――。日本海側の米産地では、台風被害が深刻。さらにこれを激痛にしているのが、全農にいがたの米ビジネスです。農民連本部は九月十九日、新潟県の下越、中越地方に代表を送り、台風被害の現地調査を行いました。 海に近い地域では、落葉樹の葉が風上側だけ塩害により落葉し、被害を受けた田んぼでは、風上となった側の畦ぎわの稲が、うっすら灰がかった色に。近づいてよく見ると、稲穂は登熟が止まり、穂が立っています。 神林村の竹内喜代嗣さんは、「稲は、畦ぎわの方が生育が良く、農家はここで収量を稼ぐ」と、被害の深刻さをなげきます。「少なくとも(十アール当り)三十キロは減っていると思う。強風でもみに傷ができれば、登熟不良でクズ米になる」とは、豊栄市の高橋正さん。高橋さんの田んぼには、強風で引きちぎられたモミが飛び散っていました。 こうしたなか、台風被害による三等米の増加と異常に安い仮渡金が大問題になっています。 この日、対策のため集まった中越地方の農民連会員が、「三等米九千九百円(60キロ)にはおったまげた」と話すほど、全農にいがたが提示した三等米の仮渡金は輸入米並みの価格で、農家にとっては死活問題。参加者は口々に、「これでは後継者育成どころではない。自分がやめなければならなくなる」「生命保険の解約か、首吊りか」と話します。 一方、全農にいがたの卸向け価格は、コシヒカリの三等米が一俵一万七千百円。さもありなん、三等米とはいえ、新潟コシが一万円割れというのは合点がいきません。全農にいがたは、仮渡金と販売価格の差額、約七千円がどこに消えているのか説明責任があります。
万全の救済策と三等米価格引上げ県農民連が要請新潟県農民連はこの間、少しでも良い米をと、被害の大きい畦ぎわの米を区分刈り取りしたり、九月二十八日には、県に被災農家への万全の救済策を要請。さらに、異常に低い三等米の価格を引き上げるよう単位農協に働きかけています。この間、被害対策に奔走している弥彦村の今井健さんは、「品質の問題以前に価格の大暴落があり、政府と政治の責任を明らかにしていく必要がある。地域の農家への働きかけを強めなければ」と、決意を新たにしています。
(新聞「農民」2004.10.11付)
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[2004年10月]
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