消費税大増税(2/2)
国民に痛みを押し付ける財界と自公民「三党合意」を徹底検証
関連/消費税大増税(1/2)
参院選できっぱり審判下そう
消費税上げなくても年金は維持できる
日本共産党が提案
「年金を維持するには消費税しかない」という財界や与党、民主党の口実は本当でしょうか。
こうしたなかで注目すべきことは、日本共産党が、増税なしに月額五万円の「最低保障年金制度」の創設を提案していることです。そのために必要な七・七兆円の財源は、公共事業費など歳出の見直しと、大企業向け優遇税制を改めることで確保。また、百六十四兆円もある巨額の年金積立金を計画的に取り崩して、報酬比例の給付水準も維持するとしています。
政府や財界は、企業負担を増やすと国際競争力がなくなるといいますが、日本の企業が負担する「税と社会保険料」の水準(国民所得比)は、ヨーロッパ諸国に比べて低くなっています(図〈図はありません〉)。
さらに、導入以来十五年間の消費税の総額は百三十六兆円にもなりますが、同じ時期、法人三税は百三十一兆円も減少。国民からしぼり取った消費税は、社会保障の財源にならず、大企業への減税などに消えてしまいました。
結局、与党や民主党の口実は、大企業の税金や社会保障の負担を軽くし、年金を突破口にして、国民に消費税の大増税を押しつけるものに他なりません。
政府がたくらむシナリオ
「インボイス」方式の落とし穴
政府の税制調査会は昨年六月の答申で、将来、消費税率を二ケタに引き上げることを明記するとともに、食料品などに対する軽減税率の採用を検討課題にあげました。食料品などへの軽減は一見よいことのように見えますが、ここにも大きな落とし穴があります。
複数の税率がある場合、これまでの「帳簿方式」では対応できず、そのために答申は、「インボイス方式」を採用する必要がある、と述べています。
商品の売り買いの度に税額を明記した伝票(インボイス)をやりとりし、仕入税額控除を受ける際にはそれを提出させる「インボイス方式」。この何が問題なのでしょうか?
小規模農家は締め出される
「免税点以下の小さい農家や業者が商売から排除される可能性がある」と指摘する農民連税対部の足立勝さん。つまり、仕入業者は仕入税額控除を受けるために、伝票を発行する資格がない免税業者の商品を買い控えるようになるというのです。実際に、「インボイス方式」を導入している韓国では、免税業者でも、国から伝票をもらうために課税業者を選択し、消費税を申告しているといいます。
もう一つの問題は、「インボイス方式」とともに導入が検討されている「納税者番号制度」と合わせて、国がすべての商行為を掌握しようとしていること。そうなれば、反面調査も思いのまま。足立さんは「消費税の税率アップは、たんに負担を大きくするだけではありません。今、税制の民主主義が大きく崩されようとしているのです」と強調します。
“消費税を上げよ”と大合唱する面々
日本経団連
「消費税率を、第一段階として3%程度は引き上げるべきであり…遅くとも2007年度までには10%とすべきである」(「近い将来の税制改革」についての意見 2003年5月29日)
自民党・公明党
「平成19年度を目途に…消費税を含む抜本的税制改革を実現する」(平成16年度税制改正大綱 2003年12月17日)
民主党
2007年度から年金目的消費税を導入。「勇気を持って消費税を国民の皆さんにお願いする。これは2007年から先行して行っていく」(枝野幸男政調会長 4月9日の衆院厚生労働委員会)
政府税調
「将来は…国民の理解を得て、二桁の(消費)税率に引き上げる必要があろう。…二桁税率となった場合には…食料品等に対する軽減税率の採用の是非が検討課題となる。…複数税率が採用される場合には…「インボイス方式」を採用する必要がある」(少子・高齢社会における税制のあり方 2003年6月)
(新聞「農民」2004.5.31付)
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