消費税大増税(1/2)国民に痛みを押し付ける財界と自公民「三党合意」を徹底検証
年金改悪法案を衆院で強行した自公・小泉政権と、これに手を貸した民主党。しかし国民生活への攻撃は年金だけにとどまりません。自公民が結んだ「三党合意」は消費税の大増税に道を開くもの。七月の参院選はこうした国民の暮らしを破壊する悪政に審判を下す絶好の機会です。
「税率アップは農業やめろというもの」―最悪の農業破壊税「消費税含む改革」で合意「社会保障制度全般について、税、保険料等の負担と給付のあり方を含め、一体的な見直しを行」うとする「三党合意」。この意味するところは、ズバリ消費税の引き上げ。「朝日新聞」(5月12日付)も「『消費税増税を本格的に論議したいというのが合意の真意』との見方もある」と報じています。実際、自公与党は昨年十二月の「税制改正大綱」で、二〇〇七年度をめどに「消費税を含む抜本的税制改革を実現する」ことで合意。また、民主党の年金法案も〇七年度から三%程度の年金目的消費税の創設を盛り込み、「三党合意」の翌日のテレビ番組では、岡田克也新代表(当時幹事長)が「与党だけで消費税増税ができるのか」と迫りました。 では、なぜ〇七年か。 財界の総本山、日本経団連が昨年五月、「消費税率を遅くとも二〇〇七年度までには一〇%とすべきである」と提言しているからに他なりません。財界と政府、自民、公明の与党、そして野党の民主党までも一体となって消費税大増税へのレールを敷こうとしているのです。
財界からの献金欲しさに…国民の批判をよそに、企業献金のあっせんを再開した経団連。献金欲しさに悪政を競い合う自民、民主の保守二大政党。こうした政治のもとでは、国民の暮らしはよくなりません。今年一月、経団連は、第一次政党“通信簿”を公表(第二次は、九月に公表)。このなかで社会保障にかかわる自民党の評価は、「消費税の将来的引き上げ等を打ち出し方向が一致」しているとして好感度B。その一方で、民主党はCでした。 急転直下、与党と合意して、年金改悪法案の衆院通過に手を貸した民主党。その背景には、「これ以上、財界の評価を下げられたくない」との思惑があったことは間違いありません。 今度の参院選では、財界に牛耳られた政治の大本を切り替えることが求められます。 総額表示は税率上げへの布石農家にとっては二重の痛み「消費税の引き上げは、農家に農業をやめろと言うに等しい」と怒りの声をあげる、千葉・山武町農民組合の佐瀬一之組合長(48)。消費税は赤字でも納めなければならない、農家はどこにも転嫁できない、最悪の“農業破壊税”です。
免税点の引き下げで大打撃昨年三月の消費税法の改悪で免税点が三千万円から一千万円に引き下げられ、今年の申告で売り上げが一千万円を超える農家は課税業者に。そして〇六年の申告から消費税を納めなければならなくなりました。「これまでは数えるほどしかいなかったのに、今年から専業農家は軒並み課税業者にされた」という佐瀬さんも、その一人です。スイカ、ニンジンを中心に露地野菜を三ヘクタール作る佐瀬さんの売り上げは約千五百万円。「しかし経費もうんとかかる。家族六人が暮らしていくのがやっと。とても消費税を払える状態ではない」と佐瀬さん。 実際に、どれくらい納めなければならなくなるのか、計算してみてびっくりしました。簡易課税制度を選択した場合、農業一般の「みなし仕入れ率」は七割ですから、五%の税率で消費税額は二十二万五千円。さらに一〇%に引き上げられれば四十五万円にもなります。 ちなみに、佐瀬さんの所得税や国保税などを合わせた額は約五十万円。つまり消費税が二ケタになれば、税金の負担はいっきに二倍にふくれあがることになります。 山武町農民組合はさっそく、四月三十日に農民連の顧問税理士に来てもらい、消費税の学習会を開催。二十五人が参加し、弱いものいじめの政治への怒りとともに、記帳や計算など、実務への不安の声が数多く出されました。 「農家は、農産物の輸入と買いたたきに苦しめられ、このうえさらに重い税金をむしりとられようとしている。今こそ、農民連の出番だ」。佐瀬さんは決意を新たにしています。
「総額表示」で悲鳴あいつぐ「納入先から価格の引き下げを要求された」―。各地の産地からこんな悲鳴が相次いでいます。四月一日からスタートした消費税の総額表示の影響です。総額表示の義務化にともなって、食料品など約千二百品目を値下げしたイオンなど、大手量販店の価格競争が激化しています。スーパーの四月の売り上げは軒並み前年割れ。しかしそのなかで、値下げによって表示価格をすえ置いた一部のスーパーが売り上げを伸ばし、こうした流れが小売業界全体に広がっているといわれます。
産地に価格の値下げを強要総額表示によって、これまで「九十八円」(税抜き)だった商品は、「百二円」(税込み)と表示しなければならなくなりました。しかし、これでは“値ごろ感がでない”と、大手量販店などは優越的な地位を利用して、仕入れ先の産地などに価格の値下げを強要しているのです。総額表示はそもそも、消費税額を本体価格のなかに隠し、消費者の目から遠ざけて、税率引き上げへの抵抗をやわらげるのがねらい。そして将来、税率が引き上げられたら、それを口実にさらに買いたたきが加速する危険もあります。消費税の総額表示は農家にとって、まさに増税と買いたたきの二重の“痛み”をもたらすものです。
消費者は見抜いている――消費税隠しの手口「日経流通新聞」がおこなった消費者緊急調査によると、総額表示を「将来の税率引き上げへの布石」と見ている消費者が、八七・七%にのぼることが明らかになりました。政府は「支払額を一目でわかるようにするため」などとゴマかしていますが、圧倒的な国民は、税率引き上げに向けた“消費税隠し”だと見抜いています。
(新聞「農民」2004.5.31付)
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[2004年5月]
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