保険料上げる給付額は削る
年金大改悪大反対だ
茨城県真壁町 藤田 栄久さん(70)
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小泉内閣は4月28日、年金の給付額を削減し、保険料を値上げする年金改悪法案の委員会採決を強行しました。こうしたなか、年金をめぐる農家の思いを聞きました。
今でも年金だけじゃ苦しい…
これ以上削られたら暮らせない
茨城県真壁町で水稲一・五ヘクタールと、五百坪の施設ハウスでキュウリを夫婦で作っている藤田栄久さん(70)。キュウリの収穫と田植えの準備が重なる四月は、藤田さんにとって一番忙しい季節です。
「世間は桜の花が咲いて浮かれているけど、うちはこの時期が一番大変」と苦笑い。その一方でどうしても気になるのが、自民・公明与党が強行する年金給付削減のニュースです。
多くの閣僚の未納に腹立つ
年間受給額を少しでも多くしようと、受取年齢を六十六歳からにずらした藤田さん夫婦の国民年金は年間約百八十万円ですが、「電気、水道、下水道など、どうしても払わないといけないものがあり年金だけじゃ暮らせない。支給額を削られたら今飲んでいる牛乳をやめるしかないのかと、かあちゃんと話していた。今だってそんなに多くはないのだから、減らすことには反対」とキッパリ言い切ります。
奥さんと二人暮らしの藤田さん。農業を続けられなくなれば、年金が唯一の収入源となるだけに、年金改悪の動きに不安の色を隠せません。
しかし、中川昭一経産相、麻生太郎総務相、石破茂防衛庁長官をはじめ、多くの閣僚が年金保険料を払っていなかったことには、「どう思うって、腹が立つだけ。『国を取れば大名だが、物を盗ればドロボーだ』と石川五右衛門が言ったけど、“政府なら何をやってもいい”そういうことかと思う」と怒りをあらわにします。
農業もそう長く続けられない
将来を考えれば不安いっぱい
また制度を変えると…
それもそのはず、藤田さんにとって今度の年金大改悪は、三年前の農業者年金の改悪とダブルパンチ。「このあたりで農業をやっている若い人も、農業者年金をやめてしまった。解約すると、払った保険料の七割しか戻ってこないのにやめた人は多い」と言います。
それだけに、今度の改悪について「“百年安心”と国会議員がテレビで言っていたが“何言ってんだ”と思う」と語気を強める藤田さん。「給付が下がり、保険料が上がれば、若い人は加入しなくなる。加入者が減って成り立たなくなれば、何年もしないうちにまた変えると言い出すのではないか」と指摘し、「政府は途中で制度を変えないでほしい。できなくなったから制度を変えるのは誰でもできる」と無責任な国の姿勢を批判します。
野菜の値段は年々下がる一方ですが、それでも今は農業収入で生活を支えている藤田さん。「先のことを考えれば考えるほど不安だね」と話してくれました。
(新聞「農民」2004.5.17付)
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