肌で感じた世界の農民運動パワー(2/2)座談会 世界社会フォーラムに参加して/ (2/2)
「核廃絶」「非同盟運動」も初登場真嶋 ところでWSFは今回初めて、会場をブラジルのポルトアレグレから、インドのムンバイに会場を移した。
農村部では腹をすかした子らが菅井 インドの様々な状況も集会などで聞くことができた。インドは食糧を備蓄しているが、それが国民に行き渡らないという話だったが…。 真嶋 政府が余剰穀物を公定価格で買いつけ、食糧不足の地域や貧しい人に安く売る制度があるんだけど、九〇年代に入ってから売る値段を上げたために貧しい人が買えなくなったんだ。それで備蓄が、最高時三千六百万トンまで積み上がり、九五年に突然、米を四百万トン輸出し、世界第三位の米輸出国になった。しかし三分の一の国民は十分な食糧を手に入れられない。 非常に印象に残っているのは、「インドは今、米などの輸出国になっているが、その一方で非常に深刻な飢餓がある。農村部では腹をすかせた子どもたちにアヘンを飲ませて寝つかせる」「そういう貧しい農民は、落ち穂を拾って食べているが、それがなくなると、ネズミの穴を掘って、ネズミが貯えた小麦を食べる」という話だった。
スラム街でみた大きなショック野田 僕は、ホテルの横のスラムを見て、大きなショックを受けた。たくさんの人が路上で生活し、どこへ行っても女性や子どもがお金や食べものをくれと寄ってくる。それに、乾期のせいもあるけど、あのほこりっぽさにも。 菅井 路上で生活する人、それよりも若干上のスラムで暮らしている人…。貧しさの中にも強烈な階層差がある。 真嶋 インドでは、僧侶と軍人と商人が三大カースト(身分制度)で、他は「カースト外カースト」。その中でも何段階かに分かれていて、農民はほとんどこれに含まれる。 高橋 でも、食べものは手に入りさえすれば非常においしいし、バラエティにも富んでいた。ホテルのとなりの小さな農地では、アカザかシロザの類のほうれん草をつくっていたし、野菜の市場では山にして売っている。日本にあるようなものはだいたいあった。 菅井 野菜は大八車のようなものに乗せて路上で売っていて、店にある食品は穀類や菓子類。買い物をすると、接客する人が五人、包装する人が五人、お金を勘定する人が三人という具合で、ものすごく雇用している。
日本の派兵にインド青年が批判真嶋 それから今回のWSFには、初めて核廃絶と非同盟運動の問題が登場したことも意義深いと思う。 野田 AALAの分科会はまったくの手作りで、参加者の一生懸命さが伝わってきた。たどたどしい英語での報告にも感心したよ。 インドの青年は「インド政府はイラク派兵を拒否したのに、日本政府は派兵を決めた。日本政府がいかにアメリカに追随しているかよく分かった。派兵に反対している日本の人々がいることを知ってうれしかった」と語っていたそうだ。 菅井 イラク派兵に反対し、日本国憲法を守るたたかいは正念場だ。世界の流れをしっかりと受け止めてたたかっていきたい。
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(新聞「農民」2004.2.9付)
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[2004年2月]
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