身近な材料・土で農の心表現したい反骨精神の農民芸術家・松本定雄さん第四十四回茨城陶芸文化協会(県北ブロック)展が十月三〜五日、大宮町の大宮ふれあいギャラリーで開かれました。会場に入ってしばらくするとコーナーから強い視線が…。近寄って見ると、まるで「俺の話を聴け」というように猟師がこちらをにらんでいました。
「怒りの作品つくろう」創作心ますます旺盛茨城・内原町実際には眼は存在せず、その部分に乗せた小さなわらのこもの影で眼を表現しています。この作品の作者は、以前「“田の神様”のお面づくり」の記事で新聞「農民」(四四五号)にも登場した松本定雄さん(67)。同展のPR担当者でもあります。さっそく取材を申し込むと、熱い主張を拝聴することになりました。「水呑み百姓」(本人談)時代の「反骨精神」がまだまだ衰えず、開口一番「こんな展覧会の内容では不満です」と挑発するように話し始めた松本さん。「もともとは、土いじりを生業(なりわい)とする農民が身近な材料である土を使って日常の思いを表現してもらいたいと考えて、始めた発表展だった。しかし…」と悔しそうに続けます。 「農民からの作品が集まらなくなった。余裕が無いのはわかるが、だからこそ創作をしてもらいたいのに…」 そのため、テーマを「ふるさと」にして参加者の枠を広げ、四十四回を数えるまで続けてきた陶芸展。しかし近年、指導者のチェックを受けた個性のない作品が多くなり、どこでやっても、いつの年でも代わり映えのしないものになってしまったと嘆きます。 「農民芸術は本来、農家の庭先に置かれ、風雪に耐え、雨露の恵みに同化し、わびさびを楽しむもの。生活に密着したものであるべきだ。それは縄文の素焼きや、はにわのもつ素朴な味だ」と、松本さん。そして、「こんな醜い農政に農民はもっと、もっと怒るべきだ。その怒りを創作にぶっつけてほしいんだ」。農の心をひたむきに表現しようとする松本さんの心底からの訴えです。 「怒りの作品」を創作し、松本さんの思いに応えてくれる方を探しています。連絡先は次のとおりです。
連絡先=〒319・0312 茨城県東茨城郡内原町大足一二八〇 TEL 〇二九・二五九・二四八七 (茨城・県北農民センター 大野憲治)
(新聞「農民」2003.11.17付)
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[2003年11月]
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