「農民」記事データベース20031013-606-01

食健連・農民連が主催

緊急シンポジウム 凶作・米改革こめ一大事!

農家、消費者、米屋さん、労働者などが熱い討論

関連/「超古米は臭くてまずいね…」

 「米は日本人の生きる力。農業・農村つぶしの米改革はノー!」九月二十七日、食健連、農民連主催の緊急シンポジウム「凶作『米改革』こめ一大事!」が、東京・大手町のJAホールで開催されました。農家、消費者、小売・流通業者、労働者など全国から二百三十人余が参加し、米を守ろうという熱い思いが会場いっぱいにあふれました。


“農業つぶす小泉改革にノー”

深刻な事態 怒りの発言相次ぐ

 九割の農家がリストラされる

 シンポジウムでは、食健連事務局長の坂口正明さんをコーディネーターに、主婦連合会参与の清水鳩子さん、米作農家で秋田県農民連委員長の佐藤長右衛門さん、武蔵野市「武蔵野精米店」の高橋信一さん、岩手県胆沢町職労委員長の渡辺和也さんの四人のパネリストが発言しました(要旨2面)

 「二〇〇〇年に国会を通った基本計画にも明記されている食料自給率の目標が、米改革では達成できないような内容に変わっている。国会で決めたことを国民に何の説明もなく勝手に変えることに、私たちは断固としてノーと言おう」(清水さん)、「冷害でほとんどとれないかもしれない山間の田んぼでも、農民は次の年を考えて畦の草を刈り、ヒエを抜く。こうして農村と水田を守っている農民を、九割もリストラする米改革は本当に腹が立つ」(佐藤さん)、「米改革が始まったら農村は成り立たない。自治体労働者として町民、農民に正しい情報を伝えていく。町民を守っていく」(渡辺さん)など、米改革に各方面から強い批判が相次ぎました。

 学校給食にコンビニの弁当が

 会場からも多彩な発言が次々に。「青森は太平洋側では作況指数三三という深刻な冷害で、自家消費分も取れないかもしれない。収穫できても三等、規格外の米になり、農家は途方に暮れている。リンゴ地帯では台風被害もありダブルパンチ」と発言したのは青森県農民連の須藤宏さん。米改革の“先進地”岩手県からは農民連副会長の堂前貢さんが「県は十二万部のパンフレットを作って集落説明会を順次開催。農民連もその後を追って“真実を伝える説明会”を順次開催中。もっとやっていきたい」と発言。

 神奈川県新婦人の渡辺和香子さんは、日本の農産物を“食べて守る消費者運動”を報告。「中学校にはコンビニ弁当が配達されているが、小学校給食には県内産米を使って自給率をあげるよう運動している」。

 宮城県新婦人の菅原明代さんは「宮城は冷害に震災が加わり被害が本当に大きい。十年前の米パニックの時、コンビニ弁当でアトピーが出た子どもに農民連の米を送り、治したことも。米改革に負けずに米作りを続けて」と発言しました。

 また大消費地東京からも「産直だけでなく、農民連の米を地域の米屋さんから供給してもらう地域おこしに取り組んでいる。ご飯の嫌いな若い親子でも、おにぎりにすればパクパク。皆本当はお米が大好き」(新婦人宮坂良子さん)。

 総選挙で政治の流れ変えよう

 最後に農民連会長の佐々木健三さんが「米改革は日本の農業をつぶす危険なもの。小泉改革にノーを突きつけ、実施が濃厚な総選挙で政治の流れを変よう」とよびかけました。

 理事会で米改革の重要性を訴え、カンパで参加したというコープ富山の理事、佐々木久美子さんと古川勝子さんは「参加して本当によかった。米改革は消費者にとっても大問題なのに、情報が入ってこない。私たち消費者は輸入米はいらない。国産米が食べたい。米改革を皆に知らせていくことが大事」と熱心に話していました。

 シンポには元NHKアナウンサーの酒井広さん、日本米穀小売商業組合理事長の長谷部喜通さんから心のこもったメッセージが寄せられ、会場からは大きな拍手が湧きおこりました。


「超古米は臭くてまずいね…」

会場で新米と食べ比べ

 休憩時間には、会場入り口で、千葉県産「あきたこまち」の新米と、“超古米”となる九八年産「あきたこまち」(秋田県産)の食べ比べが行われ、たいへんな物議を呼んでいました。「うわ、超古米はやっぱり臭いが違う。臭い」「パサパサだね」「これをお茶碗いっぱいに食べるのは嫌だ」という声が大勢を占める一方、「味がよくわからなかった……」と我が味覚の減退にショックを受けた人も若干名いたようでした。

 また展示コーナーには、米の備蓄状況などを説明したパネル展示のほか、岩手、福島、千葉の稲穂が登場。稲穂を手に「アラ、意外と軽いのね」と驚く消費者に、「これでも重い方です。今年は冷害で米粒が小さかったり、病気になった田んぼもたくさんあります」と農家が説明する場面もありました。

(新聞「農民」2003.10.13付)
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2003年10月

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