わが町・村の農業振興に力つくす(3/3)各地で取り組む自治体
新潟・聖籠町国の“農つぶし”に負けてたまるか実現!町単独の価格補償「やった! ついに要求が実現したぞ」――新潟県聖籠町で今年、町独自の農産物の価格補償制度が誕生しました。 署名運動などで町や議会に働きかけてきた農民連聖籠町支部の小嶋忠一郎さん(新潟農民連副会長=81)は喜びをかみしめながらこう言います。 「農家の手取りを保障しなければ、町から農業がなくなるという思いで運動を続けてきた。対象はとりあえずニンジンだけだが、これを機に、他の野菜や特産の果樹にも広げていきたい」。 新潟市の北に位置する聖籠町は、米や果樹とともに、砂丘地園芸が盛んなところ。ニンジンとネギは、県の野菜価格安定事業の指定産地になっています。ニンジンの価格は一昨年、昨年と、県の保証基準額(過去五年間の市場平均価格の九割)を下回り、補てん金が支払われました。 これに上乗せする町の価格補償制度は、農家負担なしで、町は今年度五百万円の予算を計上し、役場と農協がつくる協議会が補てん額を決めるというもの。町産業観光課の肥田野繁晴課長は「価格の安定がなければ、農家経営も、供給も安定しません。今年度は県事業をベースにしていますが、動かしてみて直すべきところがあれば直していきたい」と言います。
低金利、価格暴落で県事業が縮小町が価格補償制度をスタートさせた背景には、県事業の問題もありました。その一つは、県の補てん額には「足切り」があること。市場平均価格の六割を下回って暴落した場合、六割までは補てん金が支払われるが、六割以下は支払われません。さらに、出資金の利回りで運営されているため、昨今の低金利で、農家負担を増やす一方で補てんは減らす改悪をよぎなくされたことでした。 聖籠町を含む五市町をエリアにするJA北越後の担当者は「負担が増えるのは困るが、県事業がなくなるともっと困ってしまう。聖籠の新しい制度が他の市町に広がってほしい」と期待を寄せます。 都道府県の価格安定事業は新潟だけでなく、国の事業を補完する形で、すべての県で行われています。しかし「そのうち十くらいは同じように運営費が底をついている状態」(野菜供給安定基金)。 輸入野菜の急増による価格の暴落で、国の〇一年度の補てん額は過去最高の二百六十六億円になりました。 こうした事態をつくり出したのは、まぎれもなく小泉内閣の農業つぶしです。農家の切実な願いを踏みにじってセーフガードの発動を見送り、さらに今、米を市場原理に投げ込んで、予算をバッサリ削る“米つぶし”改革を強行しようとしています。 これとは対照的に、農家負担なしで、毎年予算をつぎ込んで価格補償制度をつくった聖籠町。こうしたとりくみを全国に広げ、草の根から“米・農業を守れ”の声を広げるときです。
あなたの自治体のユニークな施策をお知らせください。 (新聞「農民」2003.6.9付)
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[2003年6月]
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