「農民」記事データベース20030127-571-01

農業つぶし打ち破る熱気

希望に満ちた発言つぎつぎ

――農民連第15回全国大会――

関連/巨大な会場いっぱいに自慢の逸品がズラリ

 「大いにものを作り、国民と連帯して、農業と農山村を復権させよう」――農民連第十五回全国大会が一月十四〜十六日、東京・大田区産業プラザで開かれました。


 農業、暮らし、平和を踏みつぶす小泉・自公政治と国民との対決がますます鮮明になるなかで開かれた大会は、連帯してこれを打ち破り日本農業の再生をめざす熱気あふれる大会になりました。

 大会には、すべての都道府県から四百人を超える参加者が集い、熱心に討論。各地のとりくみを学び合い、農業にかけるひたむきな思いを共有。「数年前まではできないだろうと思っていたことが、各地で次々と実践され、検証される。さらに教訓となって全国に広がっていく。全国センターをもつ組織のすばらしさを実感した」「初めて大会に参加して、農民連の活動の発展と、その役割に確信を深めた」といった感想を寄せました。

 大会であいさつした佐々木健三会長は、医療費の国民負担を増やし、消費税の大増税をねらう小泉政治のもとで「国民は様々な問題で苦しさに直面している」と述べ、国民的な共同の重要性を強調。そのうえで住民本位の政治を進める自治体が各地で誕生していることにふれ、「地方から政治の流れに大きな変化が生まれている」と語りました。

 常任委員会を代表して報告にたった笹渡義夫事務局長は、この一年をふりかえって「BSEや食の安全をめぐる問題で政治を動かし、地域で『ものを作ってこそ農民』の旗を高く掲げて前進してきた農民連の存在感が高まっている」と報告。「存在感の高まりを組織的な前進に結びつけ、地域農業の再生を担いうる農民連になろう。地域の農民の要求に耳を傾け、『農民連に入って経営を守ろう。ものを作り続けよう』と熱く働きかけよう」と呼びかけました。

 続いて真嶋良孝副会長が、今年がたたかいの正念場になる「米改革」、WTO交渉、農地制度の改悪と農協つぶしをめぐる課題について補足報告。真嶋氏は、「米改革をめぐるたたかいはこれからが本番」と強調し、「国民的な運動を広げ、いっせい地方選挙や予想される総選挙でも、一大争点にしよう」と訴えました。

 また、ミニマム・アクセスの問題では、アメリカの横暴な要求で押しつけられたが、アメリカ自身がミニマム・アクセスの数パーセントしか消化していないことを指摘し、「最大の被害者である日本こそがミニマム・アクセスの廃止を要求すべきだ」と強調しました。

 地域農業を担える組織に

 討論では、多彩で気概に満ちた発言が相次ぎました。

 長野の小林吉彦さんは、「『作りたいもの、自慢できるものを作ろう』と始まった佐久・楽農倶楽部のとりくみを通して、喜びが生産者に充満し、地域の生産力を掘り起こしている」と発言。また、「地域の農家の支えとなる紀ノ川農協をめざして直売所を新しくし、組合員を拡大。他の農業団体との共同も発展している」と、和歌山の宇田篤弘さん。東海ネットの吉川利明さんは、「通年供給できる体制が整いはじめて、安全・安心な農民連のものがますます求められるようになった」と述べました。

 「地域」がキーワードになったのも大きな特徴です。岡山の畑野勝利さんは、中山間地で高齢者が中心となって生産を広げ、アンテナショップで販売している加茂川町のとりくみを紹介。「先頭に立って奮闘することで、地域の信頼をかち得た」と報告。広島の杉本隆之さんは、「過疎の村の村長さんは、村民の暮らしに本当に胸を痛めている。村長室に新聞『農民』の綴りを作り、農民連に注目している」と訪問・対話の経験を発言。また、米どころの秋田、宮城、岩手、福島の代表は、農協や自治体から出された「米改革」に対する怒りや、「正々堂々と正論を言っているのは、農民連だけ」といった期待の声を紹介しました。

 こうした期待に応える組織づくりも進んでいます。「これまで保守政治を担ってきた有力な方が加入するなど、新聞『農民』がまわりの農家への激励になっている」と、新潟の今井健さん。奈良の古川治義さんは「三つの単組を作り、倍化をめざす」と意気高く発言し、「税金とともに農家のすべての要求に応えられる組織に」と述べました。

 要求運動の要(かなめ)になる税金軽減のとりくみでは、「農民連の税金闘争はどこにも負けない」と岡山の黒岡秀幸さん。また、三年に一度の評価替えの年にあたる固定資産税引き下げの運動では、和歌山の貴志正幸さんが「全国でいっせいにとりくもう」と呼びかけ、東京の斉藤勇さんが、十年ぶりに生産緑地の追加指定をかちとった運動を報告しました。

 分析センターの力を実感

 食の安全を求める活動でも、「分析センターの活躍でショウガなど野菜の値が戻ってきた」(高知)、「業者が輸入米を敬遠し主食用のミニマム・アクセス米の輸入は目標の半分になっている」(米対策部)、「分析結果をもって食健連で学校給食に地場の農産物を使うよう要請」(愛媛)、「残留農薬が検出されている輸入果汁のストップを」(青森)といった声が次々とあがりました。

 直売所開設のとりくみを発言した鹿児島の松山文子さんは「大阪や茨城から来た青年が、直売所に掲げてあるノボリ旗を見て立ち寄ってくれた。農民連のことを知っていて、本当にすごい組織なんだと思った。私たちの組合はまだ小さいが、全国の経験を学んで前進したい」と述べました。

 大会はまた、今後、大会の開催を二年に一度にすることなど、規約の一部改正を決めるとともに、新任の横山昭三氏を含む二十六人の常任委員と三人の会計監査を選出。第一回常任委員会は、以下の人事を互選しました。会長=佐々木健三、副会長=真嶋良孝、白石淳一、堂前貢、財政責任者=中津孝司、事務局長=笹渡義夫、事務局次長=石黒昌孝、村尻勝信、飛田元雄、根本敬。

 大会の様子は、次号でさらに詳報します。

(新聞「農民」2003.1.27付)
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2003年1月

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