「農民」記事データベース20021216-567-10

旬の味


 十月二十八日付の本欄で雪虫について書いたところ、読者から「やちだもとは何か」との問い合わせがあったので紹介します▼「やちだも」は北海道に多く自生している落葉広葉樹で、湿った土地を好む。一度切り倒しても切り株から再び枝を伸ばし、いつの間にか大木へと生長するほど大変生命力の強い木だ。材質が堅く、粘りがあることなどから野球のバットにも使われている。かつてはハサガケ(稲の束を何段にも積み重ねて乾燥する方法)の主柱の代わりにするため、成長の早いことに着目して植えたものだ。今でも水田のあちらこちらに残っている▼北海道の稲作は開墾されてから百数十年の歴史だ。各地で出されている記念誌には、開拓当時の苦労とともに必ずやちだもの名前が出てくる。それほどたくさんあった木だったのだろう▼今、北海道で築き上げてきた美田を、元の原生林に戻せと言わんばかりの攻撃がかけられている。先人が血と汗で築き上げてきた農地や農業を、こんな理不尽な攻撃でだめにするわけにはいかない。

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(新聞「農民」2002.12.16付)
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2002年12月

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