「農民」記事データベース20021028-560-13

旬の味


 雪虫が飛ぶ季節となった。農作業中に、いつの間にか無数の雪虫に覆われていることがある。白い綿にうすい青みを付けた数ミリの虫が空中に漂よっている様は、何とも幻想的だ。北海道では、この虫が飛び始めると初雪が近いことを知り、収穫作業や来年の営農の準備を急ぐこととなる▼雪虫は、正式名を「トドノネヲオオワタムシ」と言い、やちだもで越冬し、七月にトドマツに移動、十月に再びやちだもに帰るという。人間が目にするのはやちだもへの移動途中で、ちょうどその時期が初雪の直前ということのようだ。自然界は、厳しい冬を前に、味なプレゼントを準備しているものだ▼インターネットのホームページで雪虫に関わるものをみると、ふるさとの情景や、幼少時代を懐かしんでのものが多い。自然の営みは、人間を優しくしてくれる▼農業つぶしの攻撃が凶暴さをましているが、この攻撃の推進者達は、ふるさとも自然とのふれあいの思い出もないのだろうか。一度なくしたものは元に戻らないことを肝に銘じるべきだろう。

(白)

(新聞「農民」2002.10.28付)
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2002年10月

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