小泉内閣がねらう 庶民大増税 ■中■立正大学法学部教授・税理士 浦野広明
定率税率の廃止〜所得税・住民税は一・五倍に九九年以後の所得税・住民税については、定率減税の制度が適用されています(表4)。
「方針」は、「所得税・個人住民税あわせて約四・一兆円の定率減税は、経済情勢を見極めつつ、廃止していく」としています。 定率減税適用前の所得税・住民税額が十万円の人は、定率減税の適用で六万五千円になります。多くの人は、定率減税の廃止によって、所得税・住民税が一・五倍以上になります。
公的資金等控除の廃止で年金生活者からも税金をむしり取る「方針」は、公的年金等控除(表5)について「本来不要とも考えられる」と言っています。これは、年金と直売などで細々と生計を立てているお年寄りの方々からも、情け容赦なく税金をむしり取るということです。
さらに、年金控除額の縮小は、年金を受給しているお年寄りなどを扶養している大黒柱の方々にも大増税をもたらします。配偶者控除や扶養控除などの所得控除は、いま、控除対象配偶者や扶養親族の合計所得金額が三十八万円以下でなければ適用されません。しかし、年金控除額が縮減されれば、今まで扶養控除、配偶者控除、配偶者特別 控除などの対象になっていた年金者が、控除の対象から外されることになるからです。
給与所得控除の引き下げで勤め人も大増税!日本の農家の九割以上を占める兼業農家にとって、給与所得控除の引き下げは大問題です。 給与、事業、年金等から生ずる所得に対する所得税・住民税は(表6)の順序で求めます。給与所得は、年収から給与所得控除額(表7)を差し引いて求めます。つまり控除が引き下げられると、収入は変わらなくても給与所得額が増加し、税負担は重くなります。
「答申」は、勤務費用を含む給与所得者の必要経費を「平均年収の一割弱」だと試算し、給与所得控除の大幅な縮減をねらっています。 (つづく)
(新聞「農民」2002.10.14付)
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[2002年10月]
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