全国研究・交流集会への報告(3/3)農民連事務局長 笹渡義夫
〔5〕多面的な要求運動を前進させよう
(1)重税を許さないたたかい
(1)税金のたたかいをいまから計画的に取り組もう小泉「税制改革」の基本方針が六月に税調答申として出されました。その内容は大企業には大減税、庶民には大増税の財界の要求をむき出しの形で具体化したものです。農業所得標準廃止のねらいも、消費税増税のための課税最低限の大幅引き下げ(一千万円台が検討されている)にあることははっきりしています。こうした攻撃を跳ね返すために、税金の取り組みを大いに広げましょう。 イ、大企業には大減税、そのために国民には消費税などの大増税。こんなことは絶対に許せません。共同を広げ、大増税を許さないたたかいに全力をあげましょう。 ロ、税金に取り組む組織を増やすために、都道府県連やブロックで支えあって、取り組みを前進させましょう。相談員養成は、取り組みを広げる軸です。この秋、相談員養成のための学習会を具体化しましょう。 ハ、記帳簿をもって農家との対話を広げ、広く呼びかけて「税金相談会」を市町村や旧村単位、集落単位に開きましょう。
(2)固定資産税の評価替えにむけた取り組み来年一月一日に、三年に一回の固定資産税の評価替えが実施されます。自治体はすでに作業をすすめており、負担を軽減させるうえでこの秋の取り組みが大切です。不況によって自治体の税収が減っているなかで、固定資産税が主要な歳入源として増えつづけ、三重県などのように、一方的に地目を変更して課税するという例も発生しています。 台帳を確認し、農業用施設用地をはじめ、農地をあくまで農地として評価させること、造成費の引き下げ、小作料を上回る固定資産税の減免、市街化区域農地の生産緑地の追加申請などを要求して運動を強めましょう。広く呼びかけた「固定資産税相談会」の開催、都道府県や市町村交渉に取り組みましょう。会員拡大や新聞「農民」の拡大にも結びつけましょう。
(2)BSE、セーフガードの発動、輸入規制を要求する運動BSE問題は「特別措置法」が成立したとはいえ、全面的な損害補償をはじめ、現場の様々な要求を「基本計画」に反映させる今後の取り組みが重要です。 全面的な損害補償とあわせて、感染牛を出した農家が経営を継続できるようにするための感染牛・処分牛に対する全面補償、導入牛の全額補助、生活支援、廃用牛の国による買い上げと処理対策、病畜や死亡牛の処理対策、マル緊事業から漏れている農家の救済、マル緊の補てん単価の見直しと国の補てん額の増額などを要求して運動を進めましょう。 野菜などの輸入は、食品分析センターの“毒菜”の暴露によって輸入が減っているものがあるものの、数年来のスパンでみるなら輸入増は明らかであり、セーフガードの発動を要求して引き続き取り組みを強めましょう。 米とあわせて野菜や果樹などの価格保障要求、残留農薬の厳重なチェック体制の確立を要求しましょう。
(3)「分析センター強化二千万円募金」を成功させよう
(1)ますます重要になる分析センターの役割食の安全問題を客観的・科学的事実で検証してきた分析センターの奮闘なしに、今日の食をめぐる国民世論はつくれなかったでしょう。いま、分析センターは、マスコミはもとより、自治体、農協、生協、大学や公共検査機関、民間企業の検査施設などからも広く注目される存在となっています。 農産物の輸入をさらに増やし、大企業が米・食料支配をますます強めようとしているとき、安全性の告発をさらに強めて、農業・食料・健康を守る国民合意を広げること。また、私たちが生産する農産物を検査し、胸を張って消費者に届けるようにするために、今後の分析センターの役割は決定的です。それはまた、農民連が国民の信頼を広げるうえでも大きな役割を果たすことになります。
(2)「強化募金」を成功させ、分析センターの威力発揮を今後、分析センターの機能をさらに強化し、重金属の分析に対応できる設備を新設します。また、分析依頼の急増に対応するために機器の導入、社会的にふさわしい施設整備、若い分析スタッフの涙ぐましい自己犠牲に依存した体制の改善もすすめます。 重金属への対応は、外米の汚染の暴露とともに、コーデックス委員会がカドミウムの残留基準の見直しをすすめていることからも、農民にとって差し迫った課題となっています。この間の分析センターの活躍は、農民連の存在感を大きく広げ、期待も高まっています。こうした人々を含め、組織の内外に広く呼びかけて募金に取り組みましょう。それぞれの県で積極的な目標をもって取り組みましょう。
〔6〕国民的課題で共同を広げ小泉内閣を退陣させよう
(1)有事法制阻止のたたかいについて政府・与党は、秋の臨時国会に継続審議となった有事法制を再び持ち出そうとしています。アメリカの引き起こす戦争に国民を動員する有事法制は絶対に阻止するために共同を広げ、全力をあげましょう。
(2)国民犠牲を許さない国民的なたたかいの先頭に立とう小泉内閣による国民犠牲は、医療制度改悪で一兆五千百億円、雇用保険の受給額削減と掛け金の引き上げ、介護保険や年金を含めて新たな国民負担は三兆二千四百億円にのぼります。また、消費税増税をはじめとした大増税のねらいも急です。こうした国民の生活権さえも平気で踏みにじるのが小泉「改革」の本質であり、米・農業つぶしと、その根は同じです。小泉内閣の国民犠牲は、単に国民の暮らしの破壊だけにとどまらない、日本経済そのものを破滅に追いやる危険なものです。 この秋、小泉政治のもとで吹き出している国民の様々な要求と、私たちの「米・農業・食糧を守れ」のたたかいを合流させ、地域を基礎に共同を広げましょう。
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(新聞「農民」2002.9.16付)
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[2002年9月]
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