2002年 全国研究・交流集会佐々木健三会長あいさつ(要旨)
一、研究交流集会の目的挨拶に立った佐々木健三会長は、生産調整研究会が六月に打ち出した「中間取りまとめ」について、「この方向を許せば、日本の米作りはもちろん、日本農業、ひいては日本の国土そのものが深刻な打撃を受ける。米をめぐる情勢を学び、経験の交流を深めて、米・農業つぶしを許さない全国的なたたかいを起こすことが、この研究交流集会の中心的な目的である」と強調しました。 同時に、宮城県をはじめ、農協が大規模な集会を開き、農民連と県中央会や単位農協との懇談でも、かつてなく一致点が広がっていることを紹介。「外米の削減・廃止を」「価格補償を」「家族農業を守れ」などの要求は国民合意をえられるものであり、今こそ農民連の出番であると強調しました。
二、これまでの成果に確信をもって佐々木会長は、「特別立法」を勝ち取ったBSEのたたかいについて、「農民連のたたかいが国政を動かしている象徴的な出来事。成果に確信をもって、引き続き、BSEの損害補償を求めるたたかいに全力をあげよう」と呼びかけました。 また、中国産冷凍ホウレン草の違反農薬を暴露して行政を動かしている食品分析センターの奮闘について、「分析センターの中国産冷凍ホウレン草の残留農薬の暴露がきっかけとなって、それまでフリーパスとなっていた加工品を検査対象にさせ、事実上の輸入禁止に追い込んだ。マスコミの取材、関心の広がりは一つの社会現象とさえなっている」と紹介。「九六年に組織の内外の多くの方の募金によって分析センターは設立されたが、本当に設立して良かったというのが、全国の仲間の共通する思いではないか」と述べて、昼夜を問わず奮闘しているスタッフの皆さんの奮闘を労いました。 佐々木会長は、洪水のように輸入される農産物が、いかに国民の健康を脅かしているか、分析センターが事実をもって証明したとし、こうした深刻な実態は、日本の商社による開発輸入によってもたらされていると指摘。農業破壊と同時に進行している食料の安全性の問題は、WTO体制のもとで、世界中の家族農業者が敗者にされ、アグリビジネス、多国籍企業が勝者になっている事態と根は一つだとして、世界で大きな運動のうねりとなっている「反グローバリズム」の運動を紹介。国内の地を這うような活動と世界の仲間との連帯によって、世界的な流れを強めようと訴えました。
三、自民党の悪政を変えよう自民党小泉内閣の悪政とのたたかいについて佐々木会長は、史上最悪の企業倒産、リストラ、医療改悪による負担の増加、消費税増税、課税最低限の引き下げなどの重税も企まれている一方で、銀行や大企業には、税金を惜しげもなく投入し、大減税しようとしていると批判。「これでは、ますます景気が悪化し、日本経済そのものを破壊させかねない。いま、小泉政治のもとで苦しんでいる広範な国民との連帯を広げ、自民党政治を変えるたたかいを広げることが求められている」と強調しました。 そのうえで、今年に入ってから、秋田県湯沢市の鈴木俊夫市長、福島県霊山町の大橋芳啓町長と、二人の革新首長が誕生したことを紹介。この地域の主な産業は農業であり、政治の流れを変えたいという願いとともに、輸入の激増や価格暴落に苦しむ農民が、「農業を何とかしてほしい」という願いを寄せたものだと述べました。特に、霊山町の大橋町長は福島県北農民連霊山支部の支部長であることを紹介し、農民連が単なる政策要求だけでなく、自民党の農業つぶしとたたかいながら、具体的に地域農業を振興させ、農家や消費者の要求に応えていく、現実的で、責任ある対応が求められていると強調しました。 佐々木会長は、町長誕生の力になった一つに、かつての青年団運動などによる学習運動があったことをあげ、こうした教訓に学んで、今、改めて学びつつ活動することが大切だと強調しました。 そして、「秋田や福島のような動きは、今日、全国どこで生まれても不思議ではない。私たちが多くの人たちと共同してたたかえば現実になりうる情勢だ。だからこそいま、前進、飛躍の時だ」と強調しました。
四、ものをつくる仲間を増やし、会員と新聞「農民」を拡大しよう佐々木会長は「米改革」は、WTOと小泉改革による戦後の農政の総決算というべきものだと述べ、この攻撃とどうたたかうか、まさに農民連がもっとも真価を発揮しなければならない時を迎えているとし、国民の主食を守る、農民、消費者、流通業者など、これまで広げてきた共同・連帯の輪を二重、三重に広げ、政府・与党を包囲するたたかいが必要だと強調。 同時に、この攻撃を打ち破るためには、生産から撤退しない運動、ものをつくる運動がもう一つの大事な柱だとし、そのためにも、「農民連に入って一緒にものをつくり、農業を続けよう」という呼びかけを、文字通り一丸となって進めようと呼びかけました。 最後に佐々木会長は、研究・交流集会のよき伝統は「とも育ち」にあるとし、大いに交流し、議論を深めることを呼びかけました。
(新聞「農民」2002.9.16付)
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[2002年9月]
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