「農民」記事データベース20020722-548-01

輸入冷凍エダマメから農薬検出

農民連・食品分析センター

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 暑い夏、ビールのお供と言えば、エダマメ。そんな夏の風物詩ともいえるエダマメですが、最近は、中国産や台湾産などの冷凍エダマメが年中スーパーに並び、居酒屋でも供されます。その輸入冷凍エダマメからも次々と残留農薬が検出されました。

 検査したのは、農民連食品分析センター。居酒屋、ファミレスの調理エダマメ十二検体、コンビニ、スーパーの惣菜エダマメ七検体、市販の中国産冷凍エダマメ七検体、国産エダマメ四検体の合計三十検体のうち、二十三検体から残留農薬を検出。基準値オーバーの違反品も一検体(中国産冷凍エダマメ)ありました。

 
エダマメの分析結果
居酒屋・ファミレス(試料入手および分析年月日:2002年5月24日〜6月7日および5月29日〜6月12日)
No.
購入店(経営者)
分析結果(ppm)
基準値(ppm)
産地
1
居酒屋天狗・志木店
(テンアライド(株))
プロフェノホス
シフルトリン
0.045
0.02
設定なし
2.0
インドネシア
2
村さ来・池袋西口店
((株)村さ来)
クロルピリホス
フェンバレレート
0.015
0.042
5.0
1.0
中国か台湾
3
養老乃瀧・池袋西口店
(養老乃瀧(株))
クロルピリホス
プロチオホス
痕跡(0.003)
痕跡(0.003)
0.1
設定なし
台湾
4
養老乃瀧・下赤塚店
(養老乃瀧(株))
クロルピリホス 痕跡(0.003) 0.1 台湾
5
居酒屋笑笑・志木南口駅前店
((株)モンテローザ)
クロルピリホス
シペルメトリン
ブプロフェジン
マラチオン
0.05
0.06
0.015
0.003
0.1
5.0
設定なし
2.0
台湾
6
居酒屋漁民・成増南口駅前店
((株)モンテローザ)
クロルピリホス
シペルメトリン
痕跡(0.003)
痕跡
0.1
5.0
台湾
7
白木屋・みずほ台店
((株)モンテローザ)
クロルピリホス
シペルメトリン
フェンプロパトリン
マラチオン
0.03
0.21
0.009
痕跡(0.004)
0.1
5.0
設定なし
2.0
中国
8
居酒屋つぼ八・成増南口駅前店
((株)つぼ八)
クロルピリホス
シペルメトリン
フェンバレレート
フェンプロパトリン
メタラキシル

0.04
0.15
0.014
0.046
0.14

0.1
5.0
1.0
設定なし
設定なし
中国
9
居酒屋和民・成増北口店
(ワタミフードサービス(株))
クロルピリホス
シペルメトリン
フェンバレレート
0.05
0.13
0.107
0.1
5.0
1.0
中国
10
居酒屋庄や・赤塚店
((株)かんなん丸)
検出せず タイ
11
居酒屋庄や・志木店
((株)かんなん丸)
検出せず タイ
12
和食レストランとんでん三芳店
((株)とんでん)
エンドスルファン 0.062 設定なし タイ

 

コンビニ・スーパーの総菜(試料入手および分析年月日:2002年5月10日〜6月7日および5月14日〜6月12日)
No.
購入店(経営者)
分析結果(ppm)
基準値(ppm)
産地
1
ミニストップ・営団赤塚駅前店
(ミニストップ(株))
クロルピリホス
シペルメトリン
フェンプロパトリン
痕跡(0.003)
0.15
0.043
0.1
5.0
設定なし
中国
2
Jダイナー/JR東京駅
(Jダイナー東海(株))
クロルピリホス
シペルメトリン
フェンバレレート
フェンプロパトリン
ブプロフェジン
マラチオン
痕跡(0.005)
0.09
0.025
0.049
0.022
痕跡(0.007)
0.1
5.0
1.0
設定なし
設定なし
2.0
中国
3
セブンイレブン・成増店
((株)セブン・イレブン・ジャパン)
クロルピリホス
シペルメトリン
フェンバレレート
ブプロフェジン
痕跡(0.006)
0.07
0.065
0.05
0.1
5.0
1.0
設定なし
中国
4
セブンイレブン・みずほ台店
((株)セブン・イレブン・ジャパン)
クロルピリホス
シペルメトリン
フェンプロパトリン
ブプロフェジン

0.01
0.025
0.023
0.059

0.1
5.0
設定なし
設定なし
中国
5
ローソン・成増北口通店
((株)ローソン)
クロルピリホス 痕跡(0.009) 0.1 台湾
6
ダイエー三芳店
((株)ダイエー)
フェンバレレート 0.025 1.0 中国
7
東武ストア成増店
((株)東武ストア)
検出せず 台湾

 

市販の冷凍枝豆 (1〜4の試料入手および分析年月日:2002年6月14日〜15日および6月18日〜21日、5〜7の試料入手および分析年月日:2月16日〜3月4日および2月19日〜3月5日)
No.
品名(購入店)
分析結果(ppm)
基準値
産地等
1
冷凍枝豆「GREENBOY枝豆」を茹でたもの。
(A-COOP岩倉店)
クロルピリホス
シペルメトリン
フェンバレレート
フェンプロパトリン
ブプロフェジン
マラチオン
0.068
0.137
0.025
0.0306
0.045
0.03
0.1
5.0
1.0
設定なし
設定なし
2.0
中国
2
冷凍えだ豆ニッスイ「塩あじえだ豆」
輸入者 日本水産(株)
(ダイエー成増店)
クロルピリホス
シペルメトリン
フェンバレレート
フェンプロパトリン
ブプロフェジン
0.014
0.19
0.042
0.051
0.032
0.1
5.0
1.0
設定なし
設定なし
中国
3
「VALUE PLUSえだまめ」
(東武ストアー成増店)
マラチオン 痕跡 2.0 中国
4

冷凍枝豆「Joppleえだまめ」
輸入者 三菱商事(株)
(東武ストアー成増店)

クロルピリホス
シペルメトリン
フェンバレレート
痕跡
0.26
0.01
0.1
5.0
1.0
中国
5
冷凍食品ニッスイ枝豆「塩あじ茶豆」
輸入者 日本水産(株)
(西友東長崎店)
シペルメトリン
フェンバレレート
痕跡
1.41
5.0
1.0
中国
6
冷凍えだ豆ニッスイ「塩あじえだ豆」
輸入者 日本水産(株)
(ダイエー成増店)
シペルメトリン
フェンバレレート
0.024
0.056
5.0
1.0
中国
7
キャプテンクック冷凍「黒豆のえだ豆」
輸入者 ダイエー(株)
(ダイエー成増店)
検出せず   中国

 

国産の枝豆(試料入手および分析年月日:2002年6月11日〜14日および6月13日〜17日)
No.
品名(購入店)
分析結果(ppm)
基準値
産地等
1

枝豆 サマーピース野田生産者連合会
(ダイエー成増店)

検出せず   千葉
2
枝豆 JA新田郡、JAグループ群馬
(ダイエー成増店)
マラチオン 0.01 2.0 群馬
3
茹で枝豆 庄内産直センター
生産者 渡辺正一
検出せず   山形
4
茹で枝豆
庄内産直センター
検出せず   山形

 

 居酒屋、ファミレス、コンビニ…

 居酒屋やファミレス、コンビニやスーパーのエダマメは、合わせて十九検体のうち十六検体から農薬を検出。基準値オーバーはありませんが、五〜六種類の農薬が残留しているものも。発ガン性(シペルメトリンなど)、遺伝毒性(クロルピリホスなど)、視神経障害・環境ホルモン(マラチオンなど)、強魚毒性(エンドスルファン)など、人体、環境への影響が懸念されます。

 残留農薬が基準値を下回っているといっても、それは調理後での話。「ゆでれば農薬が溶け出すので調理前はオーバーしていた可能性もある。しかも、複数の農薬を同時に摂取したときの影響は計り知れない」と、石黒昌孝・農民連食品分析センター所長は言います。

 居酒屋、コンビニなど各社に問い合せると、エダマメの産地は、中国、台湾、タイ、インドネシア。国産はありませんでした。それでも食の安全・安心を求める世論の高まりにピリピリしている様子がうかがえます。

 「ホウレン草騒動以来、安全性が確認できない中国産は切り換えてきた。エダマメは六月十五日以降、店頭から引き上げた」(セブン-イレブン・ジャパン)、「ホウレン草の問題以来、公的機関に検査を依頼しており、七月末に結果が出る予定」(ダイエー)と言います。

 また、とんでんは、「検査してもらってうれしい。どうして農薬が入ったのか調査する。検査結果をどう受けとめるべきでしょうか」と逆質問。「天狗」を経営するテンアライドは「我々もみなさんと同じスタンスで国産を使うようにしてきたが、量が不足するエダマメやナンコツなどは輸入に頼ってきた。数少ない輸入品から農薬が出て残念だ」と回答。さらにワタミフーズは、分析結果を受けて「エダマメの販売を当面やめる」と通知してきました。

 基準値を超える違反品も出た

 「買ってきた冷凍エダマメをゆでて食べたら、ものすごくイヤな臭いがして、インターネットで知った農民連食品分析センターに分析を依頼した」という京都市の斉藤さん。A-COOP岩倉店で販売された、このエダマメからは六種類の農薬が検出されました。

 これも含めて中国産冷凍エダマメは、七検体のうち六検体に農薬が残留。西友東長崎店で購入した「ニッスイ枝豆『塩あじ茶豆』」からはフェンバレレートが一・四一ppm検出され、基準値(一・〇ppm)を超える違反品でした。

 フェンバレレートは、殺虫剤の一種で、遺伝毒性があります。「エダマメの基準値は、ホウレン草と比べてだいぶ高い。サヤは食べないからだが、食べるときに口をつけるので恐い。京都から依頼されたエダマメは十分間ゆでたというが、クロルピリホスは基準値の七割も残留しており、ゆでる前は超えていた可能性が高い」と石黒所長。

 冷凍ホウレン草に続いて、農民連食品分析センターが告発した輸入冷凍エダマメの残留農薬。これが、輸入禁止措置を盛り込む食品衛生法の改正や、約二百種類の新たな残留農薬基準づくりに着手している厚生労働省の動きを加速させることは必至です。

(新聞「農民」2002.7.22付)
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2002年7月

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