「農地と地域農業守る」特集 農業委員会―各地のとりくみから―
“田んぼ”と“環境”破壊する産廃埋め立てやめさせた千葉県・八日市場市農業委員会緑豊かな自然に恵まれ、歴史のある千葉県八日市場市は、県の北東部に位置し、米を中心とした「日本一の植木のまち」。農業を基幹産業とする八日市場市の農業委員会(依知川智会長)は、BSE問題で万全な対策の要望、セーフガードの発動や農業者年金の改悪反対などの建議を全会一致で採択するとともに、産業廃棄物の埋め立てをやめさせたり、中国の農業視察を行うなど、地域農業の振興をめざし行動する農業委員会です。
“地域住民の声”に応えて同市北部は自然林にかこまれた山間地。県内の建設会社が二年前、約三十アールの谷底の山林に「資材置き場」を作ると称して埋め立て工事や土砂採取事業の許可を申請。資材置き場を作るなら、わざわざ埋め立て工事をするのではなく、平地の方が簡単に利用できるはず。地域住民から「資材置き場ではなく、産業廃棄物の処理場にするのではないか」という不安の声があがり、地元住民らは、八日市場市長に産業廃棄物の埋め立て場にしないよう要望書や意見書を提出しました。 「資材置き場」予定地の週辺には、田んぼや日蓮宗の最古・最大の学問所であった飯高寺(飯高檀林)があります。産廃の処理物や土砂が田んぼに流れ込んだら、米作りにも大きな影響を与えることが予想されました。 産廃処理場にしようとした場所に通ずる道路は、県道から乗用車一台しか通れないほど道幅が狭く、広げなければ産業廃棄物を運搬するダンプや大型車両は通れません。建設会社は道幅を拡張するために、農地転用の許可を農業委員会に申請。農業委員会は、農地転用を許可しませんでした。建設会社は昨年九月十九日に農地転用の申請を取り下げ、埋め立て計画をあきらめました。農業委員会は地域住民の要望や田んぼ、自然環境を守るために大きな役割を果たしました。
輸入野菜激増のもとで同市農業委員会は二十五人の委員のうち会長の依知川さん(農民連八日市場支部長)をはじめ六人が農民連の会員。会長職務代理の鈴木農夫一さん、農地銀行会長の秋山清壽さん、農地副委員長の椎名功さんなど、農民連会員が要職についていて、二十三人の農業委員が新聞「農民」読者です。輸入野菜の急増で価格が暴落、農民が深刻な経営危機に追い込まれたとき、セーフガードの発動を求める運動が発展。昨年四月には、ネギなど三品目の暫定セーフガードを発動させました。 八日市場市農業委員会は、小泉内閣が本発動を渋り、暫定期限まであと一カ月の昨年十月九日から十二日まで、中国の農業視察を行いました。 広大な畑にネギ畑やビニールハウスが延々と続いていることに一同、びっくり。また、中国の担当者から日本人の好む白ネギが大量に栽培できる話を聞き、セーフガードの本発動をさせなければという決意を改めて固めた視察でした。
(新聞「農民」2002.6.10付)
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[2002年6月]
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