「農民」記事データベース20020128-524-03

共同と共感が広がった農民連第14回大会

たたかう力が湧いた

関連/展望切り開く力と熱気

 「大会は、参加した一人ひとりの思いで作られていて素晴らしい」「悪政に決して負けない力が農民連にあることを確信」などなど、参加者に大きな感動を与えた農民連第十四回大会。今回初めて朝日新聞の記者が大会を取材するなど、農民連の活動がマスコミからも注目されています。BSE・セーフガード・「米改革」とのたたかい、生産・流通のとりくみ、税金闘争や仲間づくりなど、積極的な発言が相次ぎました。


 BSEの被害補償を酪農家の思いに涙…

 BSE(狂牛病)を発生させた政府の責任を厳しく追及する発言が相次ぎ、農家が受けた被害を全額補償させる「損害請求運動」が呼びかけられた大会。北海道・厚岸町から参加した小野寺浩江さんは「この大会には、農民の、たたかおうという熱い力があふれていて、うれしい」と発言しました。

 マイペース酪農を営む小野寺さんは、「子どもを抱く暇もなかった」増頭一辺倒の経営から十年前に転換。それからは「草食動物である牛に腹いっぱい草を食べさせて、ありがとうという気持ちで“牛飼い”を続けたい」と、本来の酪農の姿を必死に探求してきました。酪農にかける深い思いを語る小野寺さんに、会場からは、共感の涙をにじませる人が次々に。

 そのうえで、「うちの牛が感染していてもおかしくないと思うと、愕然とする」と述べて、酪農家が積み上げてきた努力をいっぺんに吹き飛ばしかねないBSEへの対策を怠った政府の対応を批判。「安全な食料と、子どもの代に受け継ぐことができる農業のあり方を、国民みんなで考えていきたい」と訴えると、会場から大きな拍手が起こりました。

 農民連と共に歩む米屋さんが増えている

 新設された米対策部の事務局長の横山さんは「流通の川の流れにそったとりくみを」と呼びかけた笹渡事務局長の大会報告を引いて、「米卸出身の私は“川下”育ち。川も時には下からつついた方が流れが良くなることもある」と登壇するなり会場を笑わせました。

 そして「農業版“構造改革”は兼業農家や中小米業者をふるい落とし、やがては米も輸入に頼らせようとするもの。これでは日本の農業も中小米業者の経営も守れず、なによりも消費者・国民が安全な米を食べ続けられなくなる」と述べて、広範な共同の客観的な条件があることを強調。

 「減反などの“作らせない”攻撃をはね返して作り続けよう」と呼びかけると同時に、「業者の皆さんの力も借りながら流通ルートをさらに切り開いていくのが米対策部の仕事」と紹介しました。

 また米卸、小売業者を通じて農民連の米を届ける「準産直米」の取り組みが、年間六万俵にまで大きく広がっていることにふれて、「米屋さんには“農民連ブランド”として定着し、厳しい経営のなかで農民連との協力に生き残りをかける米屋さんが増えている」と発言。「安全で中身が誰にでもわかる米づくり」をめざして、各地の栽培基準の集約や、栽培履歴の記帳・公表を進めようと提案しました。

 スーパーへの出荷が始まってから会員が会員を拡大

 阿南さんは、スーパーでの直売で、会員が会員を拡大して十人だった仲間が三十人に増えた経験を報告しました。

 これまで大分県連では、売り先の少なさから会員拡大がなかなか進みませんでしたが、なんとか新しい売り先を見つけようと昨年の三月、大分市内に六店舗を展開する地元スーパーに飛び込みました。応対したのはスーパー本部の野菜部長。新聞「農民」を使って輸入野菜の危険性などを話したところ、野菜部長は「うちの消費者も安全で、地元のものをほしいという声が強い」と返答。トマトなどサンプルを持っていく、生産者に会ってもらうなど四カ月交渉を重ね、応諾してもらいました。

 そしていよいよ七月から、販売委託方式で週一回、水曜日に「久住の野菜コーナー」として農民連の野菜が並び始めました。毎回二十から三十品目、約千五百の野菜を生産者二人で朝五時出発でトラックで搬入。消費者が買いやすいように値段は全品百円に設定しました。半年間で売り上げは百四十万円に積み上がり、生産者からは「年金を使わずにすんだ」「今年は牛二頭分相当を売った」という声も。

 スーパーへの出荷が始まってからは、会員が会員を拡大。

 阿南さんは「スーパーの取り組みを経験したことで、働きかけがあれば仲間は増やせる実感がわいてきました。地産地消、地元の農産物を守るために、これからも全力でがんばりたいと思います」と発言をしめくくりました。

 執行委員会で固い決意みんなの力で拡大できた

 大会では、組織づくりの目標達成のため、一丸となってがんばった県連の活動が報告されました。

 新潟県の小嶋忠一郎さんは今年八十歳になりますが、昨年末の拡大行動に参加し、「声をかければ快く応じてくれて楽しい拡大だった」と述べました。

 千葉県連は、二日目の夜、代議員八人がいっせいに携帯電話を握り、八部を拡大。三日目、このことを、千葉県連の大木伝一郎委員長は次のように発言しました。

 昨年の千葉県農民連の大会で、二百人の組合員と五百部の新聞の拡大目標を決定しました。

 組合員は、今年一月十三日に、二百二人で超過達成。新聞は、三百部まであと七部まで到達していました。ぜひ大会中に三百部の大台に乗せたいと思い、千葉県の八人の代議員に訴えたところ、携帯電話を使って八部をやりきりました。

 みんなで三百部をやり切った教訓としては、県の執行委員会で仲間作りの方針を前面に立てて議論したこと、組合員の対象を大幅に広げ、要求で対話して拡大したこと、大勢の力で成果を上げたことなどです。

 二月二日の県連大会をさらなる高揚の中で迎えるため、全力を尽くしたい。

(新聞「農民」2002.1.21・28付)
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2002年1月

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