いまこそ農民を励まし、国民と連帯してた たかい、農業・農山村の明日を切り開こう
農民連第十四回大会決議案
二〇〇一年十一月二十四日 農民運動全国連合会常任委員会
V 今こそ、たたかう農民の主体的力を! すべての市町村に組織を作ろう
いま、農民連がどれほどのスピードで組織作りを前進させ、影響力をもった組織になるかが鋭く問われています。それは、日本農業を再生させる根幹にかかわります。
1 結成以来の組織建設の到達点について
量・質ともに強大な「近代的組織作り」をめざし、結成以後、数倍規模に前進した県連組織も生まれるなど、多くの教訓を生み出してきました。
しかし、直視しなければならないのは、組織作りが最も立ち遅れた分野になっていることです。また、農民連の果たしている役割や農民、消費者の期待の大きさに比べてあまりにも組織が小さすぎるということです。
結成以来、ほとんど組織を前進させることができず、県内に農民運動の専従者が一人もいない組織が残されていることは重大です。また、一定の段階に前進した組織が次の飛躍を勝ち取れない問題について、単組機能の強化や支部・班を中心にした活動の定着、役員会の団結と民主的運営、活動家の養成など、深い検討が求められています。
2 農民の多数を結集する組織にふさわしい改善を
(1)農民の利益を守る団結した組織、支えあい励ましあう温かい組織作り
農民連は、激しい農業破壊に抗して要求を実現し、営農を続けるために団結して運動を進める組織です。会員を大切にし、会員の置かれた状況をみんなが理解し支えあうことは、私たちの原点です。活動や寄り合いが楽しく、まわりの農民から共感される集団、すべての農民に門戸を開放した組織を作りましょう。
(2)方針が会員に届く組織、支部・班が「計画」をもって自主的に行動する組織へ
(1)決めた方針が伝わらない弱点の克服
全国連や都道府県連が情勢や運動の教訓をもとに方針を決めても、支部や班、会員に届かなければ運動は前進しません。この弱点を克服しましょう。
(2)支部・班が「活動計画」をもって自己回転する組織へ
支部・班が話し合って、住んでいる地域をどうするか、どんな要求にとりくむか、入会や新聞「農民」の講読をよびかける対象者を出し合い、分担して自主的に活動を進めましょう。春の段階で全国的に「計画作り」に取り組みましょう。
(3)自主性を引き出す学習活動、「農民連テキスト」の活用・普及を
会員が自主性を発揮して運動に参加するためには、会員が農民連の運動や組織に自信や誇りを持てるようになることです。
また、学習することは、これまで意識しなかった要求を自覚することにもつながります。全国の実践によって練り上げた『農民連テキスト』は最良の学習資材です。全会員規模で普及し学習しましょう。
(4)県連の役割の発揮を
全国の方針を正面から受け止め、全県的視野で要求をつかみ方針を具体化すること、全県の運動を集約して、経験や教訓を地域に普及することは都道府県連の中心的役割です。
専従者の役割の発揮と役員会の集団体制作り、定期的な会議の開催、都道府県連の役員が地域とのパイプとなり、単組や支部・班の先頭に立って活動しましょう。
(5)すべての単組に事務所と専従者の配置を
地域の拠点となる単組に専従者を配置しなければ会員やまわりの農民から信頼されることも、活動を日常化することもできません。また、専従がいなければ社会的に認知されず、産直や国民との連帯を広げる障害にもなります。
すべての単組が専従者配置を正面に据えて会員拡大にとりくみ、適切な規模での単組の再編も進めましょう。
(6)支えあい、とも育ちするブロック活動を強めよう
(3)全国的なコンピューターによるネットワークを
3 活動の中心である新聞「農民」を広範な農民、国民の中に広げよう
(1)ますます高まる新聞「農民」の役割
新聞「農民」が数十万部発行され、単協とその役職員、農業委員などの大多数に「農民」が普及されていたなら、ここまで農業破壊を許すことはなかっただろうというのが、私たちの痛苦の思いです。また、広範な消費者や流通関係者などに普及されたなら、農業を守る国民合意と連帯は大きく広がるでしょう。
多くのマスコミが大企業の言い分や自民党農政を賛美するという状況が続いているなかで、新聞「農民」の持つ役割は、ますます重要になっています。
(2)数十万めざして新聞「農民」の購読を広げよう
読者拡大を前進させた千葉、埼玉、秋田、富山県連などの教訓は、県連が「決めた目標をやりきる」立場を貫き、役員を先頭に団結してとりくんだことであり、役員が成果をあげながら要求運動の話題をもって単組や支部・班に足を運んで学習と議論を広げ、拡大チャレンジャーを組織して成果をあげたことです。
「農民」読者の対象は無限であり、紙面を力に手分けして広く訴えるなら急速に講読を広げることが可能です。新聞「農民」の還元金は、都道府県連にとっても本部にとっても財政の大きな支えです。数十万部の新聞「農民」の実現をめざし当面、全国で五万部の峰を一日も早く突破するため、全力をあげましょう。
(3)紙面改善、通信活動の強化を
「食と農を守る共同の新聞」にふさわしく、紙面の充実と、より読みやすく親しみやすい紙面作りの努力を強めます。三月を期して大文字の採用と月一回八ページ化をはかります。また、内容的にも、農民の目線にたった営農に役立つ情報をより多く提供する努力を強めます。
通信こそが「みんなで作ろう、ものいう農民」の原点であり、全国からの通信なくして紙面を充実させることはできません。都道府県連に「編集協力者」を配置し、日常的な通信活動を進めましょう。
4 視野を広げ、多数者結集をめざして会員拡大を
農民と対話し、要求に耳を傾け、農民連への加入をよびかける運動は、農民連運動の根幹です。仮に要求運動がどんなに前進しても、組織拡大の前進なしには、日本農業の再生も農民経営を守ることもできません。
情勢の変化に対応し「農民の多数を結集する」大きな構えで、もの作りや産直、税金など、あらゆる要求運動と結んで、自主的に決めた拡大目標を達成しましょう。
(1)全農民を対象にした対話と要求ごとの「相談会」運動を
会員の年間拡大目標二百人を達成した千葉県連など会員拡大を前進させた組織では、野菜作りや産直、税金、鳥獣被害対策など、多様な要求で対話し、会員の結びつきを生かして会員拡大を進めています。また、広く農民によびかけた要求ごとの「相談会活動」も威力を発揮しています。
(2)生産グループなど、団体加入の促進
JAの部会や生産・出荷団体なども農産物価格の暴落で苦悩し、農民連への活動に共感を広げています。こうした団体に団体加入を働きかけましょう。
(3)すべての市町村に組織を作る計画を
広大な自治体が空白のまま残されています。全国のどこの地域でも、農民連を作る条件が広がっています。この条件を生かして空白自治体に組織を作る計画的な努力を強めましょう。
(4)青年への働きかけと青年部作り
農業専業の青年の苦悩に心を寄せ、対話して農民連の活動や存在を知らせ、たたかう道をともに切り開くことが求められています。今は勤めていても、仕事の合間や休日に農作業を手伝う青年は立派な後継者です。こうした人たちと結びつきを強め、激励することも後継者を確保する大事な活動です。青年の要求やセンスを尊重しながら、組織全体で青年への働きかけを強め、青年部作りを広げましょう。YAC(ユース・アグリ・クラブ)のネットワーク、農業ボランティア運動を全国に広げましょう。
(5)女性会員を増やし、女性部の強化を
女性が農業を支えている実態からも、女性が活動の先頭にたつことが生産の拡大や日本農業再生にとっても重要です。また、介護、子育て、社会保障など、女性の悩みや要求は切実です。体験農業やボランティアの受け入れ、消費者との交流など、国民との連帯を広げるうえで、女性の役割は大切です。引き続き女性会員の拡大と、女性の結びつきを生かした会員拡大を広げましょう。都道府県と単組に女性部を作り、組織全体で自主的な運営を援助しましょう。
5 財政問題について
(1)本部財政の現状
本部財政は、毎月の経常経費の赤字や未払金の発生など、重大な現状にあります。
この原因は、情勢や運動の発展、組織の若返りや人材の育成、新聞「農民」の編集体制の若返りなどによる経費の増大があります。こうした経費の増大の一方、前進しているとはいえ、新聞「農民」と会員拡大が求められる水準に達していないことです。また、本部への滞納が、各県の努力で大幅に解消されてきたものの、いくつかの県連で解決されていないことです。そしてなによりも、常任委員会が数年来、厳しい財政状況にあったにも関わらず、努力を強めてきたとはいえ、抜本的な解決策を打ち出してこなかったことにあり、その責任は重大です。
(2)打開の方針
数十万部の新聞「農民」という大志ある展望をもって、当面、五万部の拡大をいち早く達成することと、会員拡大の飛躍を勝ち取ることこの二つを前進させることが財政問題を根本的に解決する道です。また、本部への滞納を解決するための抜本的な手だてと、滞納を生まないための原則的な対応と援助、より厳密な予算編成と支出の節約、執行を貫きます。
こうした努力を強めるとともに、二〇〇二年三月から「農民」の購読料を現行の月三百五十円から四百五十円に改定します。
(3)都道府県連の財政強化について
専従者の人件費の遅配など、財政の困難を抱えている県連組織もあります。財政は組織の存立にかかわる問題であり、正面から現状と問題点を明らかにすることが解決への第一歩です。
石川県連や長野県連など、本部への滞納を解決し県連財政を前進させた組織の教訓に学び、前進的・攻勢的立場で議論し、組合員に依拠し、要求運動や組織を前進させるなかで財政を確立する計画や手だてを強めましょう。
(新聞「農民」2001.12.10・17付)
|