政府・自民党米の“構造改革政策”決定(上)何が決まり、何が持ち越されたか政府・自民党は十一月二十二日、米の“構造改革政策”を決め、二十七日に開かれた食料・農業・農村政策審議会主要食糧分科会(旧米価審議会)に報告しました。
小泉「改革」つまずきの一歩政府は小泉「改革」の青写真である「改革工程表」(九月二十一日)に「水田農業の構造改革を十一月をめどに具体化する」ことを明記し、年内に大改悪を強行するもくろみでしたが、今年と来年の二段階に分けて実行することに修正。悪政の極みに対する国民的反撃の前に、小泉「改革」がつまずきの一歩をしるしたことを意味します。とはいえ「農業団体の要請に沿った内容」(全中)などといえるシロモノでは毛頭なく、強行突破を一年先延ばしにしたにすぎません。現に武部農相は「全体の基本的道筋をつけたうえで、見直し事項の内容を踏まえて直ちに実施できるものから順次実施していく」と述べ、「基本的道筋」つまり抜本改悪の意図を隠そうともしていません。 農民連は、来年を日本の米を守る大闘争の年と位置づけ、宣伝・対話、大集会、シンポジウムなど、農村ぐるみ、国民ぐるみの運動を展開する方針です。 抜本「改革」の二段階戦略の概要は表の通りですがいったい何が決まり、何が、どう持ち越されたのか――二回に分けて検討します。
稲作経営安定対策からの副業排除は引っ込んだか?JAグループを含め批判が集中したのは、最小限の価格下支え制度である「稲作経営安定対策」(稲経)から副業的農家をはずすことを許すかどうかでした。農水省の当初案は「稲経について、真に稲作所得に依存している(主業)農家の経営安定に資するとともに、現在の脆弱な生産構造を改善する視点から、より有効な仕組みへ改組し、立ち遅れている稲作の構造改革を推進する」と、副業排除を示唆。 一方、武部農相はもっと露骨に「米は一ヘクタール未満が八割。これはガーデニングに近い。稲経として副業農家に出している四百億円を別のものに使うと抵抗があるが、断行しなければならない」と言い放ちました(経済財政諮問会議で、八月三十日)。 十一月二十二日の決定(「米政策の見直しと当面の需給安定のための取組について」)では、副業的農家を排除するという趣旨の文言は消えました。この限りでは、副業排除は引っ込んだともいえます。 しかし、事態はそれほど甘くはありません。 新しい決定には「構造改革推進の観点から」、稲経の「あり方を検討する」ことが明記され、農水省の最初の案とほとんど変わりがないからです。 現に、副業排除「断行」を明言した武部農相が「改革の道筋はつけることができた」と述べ、さらに農民連の要請に対し食糧庁の担当課長補佐は「副業はずしは今回はできなかった。ただ、これから考えていく」と述べており、副業排除の方向を、政府が最終的に断念したわけではないことを示しています。
第四回WTO閣僚会議宣言(農業関係部分)農業*われわれは、世界の農産物市場における規制と歪みを是正・防止するために……根本的改革のプログラムを通じて、公正で市場指向型の貿易体制を確立するという農業協定に言及された長期目標を想起する。われわれは、このプログラムへの約束を再確認する。*われわれは、現在まで行ってきた作業を基礎として、また交渉結果を予断することなく、(1)市場アクセスの実質的な改善、(2)すべての形態の輸出補助の段階的撤廃をめざした削減、(3)貿易歪曲的な国内支持の実質的な削減を目的とした包括的な交渉を約束する。 *われわれは、発展途上国に対する「特別かつ異なる待遇」は、交渉におけるすべての要素の不可分の一部でなければならないことに合意する。…… *われわれは、加盟国から提出された交渉提案に反映している「非貿易的関心事項」に留意するとともに、「非貿易的関心事項」が農業協定で規定されている通りに交渉のなかで考慮されることを確認する。 *さらなる約束に関する様式は、二〇〇三年三月三十一日までに定められなければならない。これらの様式にもとづき、参加国は、包括的な譲許表の案を第五回閣僚会議の日までに提出しなければならない。 *ルールや規律に関する事項、関連する法的文書を含め、交渉は、交渉議題すべてが終結する日に、その一部として終結しなければならない。
作業計画の組織と運営(交渉期限など)*第五回閣僚会議(二〇〇三年予定)では、交渉の進捗状況を評価し、必要に応じて政治的指針を与え、決定を行う。*一般理事会のもとに貿易交渉委員会(TNC)を設置する。その初回の会合は、二〇〇二年一月三十一日までに開催する。…… *交渉の実施、結論及び交渉結果の発効は、一括受諾方式とする。…… *交渉は、二〇〇五年一月一日までに終結する。 (農水省仮訳をもとに編集部が若干手を加えた。なお「宣言」は、衛生植物検疫協定=SPS協定には触れていない)
(新聞「農民」2001.12.10・17付)
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[2001年12月]
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