中国産ネギは出荷目前まったなし セーフガード本発動
千葉県・八日市場市農業委員会が現地視察セーフガード暫定期限まで一カ月と迫った十月九日から十二日まで、千葉県八日市場市農業委員会(依知川智会長=農民連八日市場支部長)は、中国農業視察団として収穫・出荷直前のネギなどの蔬菜、稲作の現地視察を行いました。同委員会は二十五人のうち六人が農民連会員で、全員が新聞「農民」読者です。農業委員でもある私(大木・農民連千葉県委員長)が提案するセーフガード発動、農業者年金改悪阻止などの建議は全会一致で採択しています。
章丘市だけでネギ七千ヘクタール青島市から章丘市、さらに北京市郊外の中日友好農場へと走った高速道路の両サイドに中国式のビニールハウスが延々と続き、その広大さに仲間からため息が漏れました。ハウスの中には、トマトが支柱もせず地に這うように実がついていました。麦畑は雨がなく、ほこりが舞い、五ヘクタールに一基ほどのポンプで地下水を汲み上げるのを、農家の人たちは腰掛けて眺めています。 問題のネギ畑では、章丘市農業局で女性の局長が、「ネギの栽培面積はこの地域で七千ヘクタール、ネギ栽培の歴史は四百七十年、日本人の好む白根は五十〜六十センチありますヨ」と自慢げに語っていました。 コメについては、「一俵百六元(日本円で二千三百円)、コシヒカリは十年前、日本の農水省から提供された」と答えていました。 農機具はほとんど見ることがなく、時折、三十年以上も前のポンコツ寸前のトラクターが走っています。どこにも自動車(汽車)修理の小さな店があり、とことん大事に使用している姿に反省もしました。
年間七〜八万円の人件費で農家所得は年間一人七〜八万円。そんな中で生産されるネギの価格は想像がつくと思います。説明と活発な質問のあと、ネギ畑に向かいました。三十分もバスでネギの畑を揺れて行き、「視察はまだか」と苦情が出るほど地平線まで続くネギ畑。一面のネギは収穫前で出荷直前。セーフガード期限切れを待ち望んで出荷を我慢している感じでした。 近くで農婦が幼い子どもと一緒に、水をポンプ小屋からあふれるほど汲み上げ、ネギ畑の畝間にかけていました。
本発動なければ壊滅は必至一本のネギを掘って試食しようとしましたが、白根が深くなかなか抜けません。やっと抜いた一本のネギは見事な白根で柔らかい。中国ネギは硬いと思っていましたが、脅威を感じ、地元のネギ農家の顔が浮かびました。本発動しなければ壊滅的な打撃を受けてしまうというのが、事実です。帰国後、さっそく食健連と農民連による農水省交渉に参加し、中国のネギが対日本輸出にむけ準備万端であることを指摘し、セーフガードの本発動を強く求めました。ところが、農水省の課長補佐は「中国のネギにガソリンを撒いてくればよかったのに」などと暴言(後に撤回)を吐き、本発動を約束しません。 今まさに、本発動を求める運動の正念場を迎えています。 (大木伝一郎)
(新聞「農民」2001.11.12付)
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[2001年11月]
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