狂牛病万全の被害補償策を農民連農水省に強く要求
「最大の被害者は農民だ」――食健連と農民連、畜全協は九月二十一日、狂牛病で被害を受けた農民の生活保障、営農の再建に万全の支援策をとることを求めて農水省と交渉しました。 「対策が後手後手になり、患畜が肉骨粉に処理されるなど、農水省の右往左往ぶりは国民の信頼を損ねている。責任を感じて万全の対策にあたるべき」と佐々木健三会長。狂牛病が発生した千葉県白井市の市議は「発生農場の農家は、農水省の全頭処分の指示に途方にくれている。どう救済するのか」とただしました。 農水省は二十二日、鑑定を依頼していたイギリス獣医研究所の診断報告を受けて、疑似患畜を狂牛病と断定。二十五日に緊急対策を発表しましたが、これは図体ばかりでかくて中身がまったくない、農家の要求とかけ離れたものです。 総額五百五十九億円の対策のうち九割以上は融資制度。しかも償還期間が一年と短く、経営再建に役立ちません。昨年の口蹄疫対策のときも、ほとんど借り手がいなかった愚策です。 また「狂牛病と関係がある牛を農家が自主的に処分する際には買い上げる」といいますが、これはあくまで風評被害で価格が下がった時価でのこと。交渉では、茨城の酪農民が「導入する乳牛は一頭六十万円もするが、肉にするときは二束三文だ。適正な価格で補償しなければ酪農を続けられない」と訴えましたが、農水省は冷たく無視。 白井市の発生農場の牛については、患畜が三分の一、その他の牛は五分の四しか補償されません。 EUの支援策と比べると、対策のおざなりぶりは明らか。EUは、牛肉市場価格の下支えのために直接買い入れを実施しており、その費用はEUが七割、実施国が三割を負担。フランスでは毎週四千トンの牛肉が市場から引き揚げられているといいます。さらにフランスでは、畜産農家の社会保険料の納付延期、五年償還の低利融資、代替タンパク(大豆)の増産支援など、その対策は総合的。すでにEUで行われていると畜段階での検査や輸入肉骨粉の全面禁止が、日本でも行われるようになるのは一歩前進ですが、さらに農家の立場に立った支援策を求めていく必要があります。
(新聞「農民」2001.10.8付)
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[2001年10月]
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