国内初、狂牛病の疑い肉骨粉の流通防げ
九月十日、国内で初めて狂牛病(牛海綿状脳症)の疑いがある牛(メスの乳牛、五歳)が、千葉県白井市で見つかりました。この牛は食肉処理場で起立不能になっていたため、と畜後に脳を採取して調べたところ、狂牛病に特有の空胞(小さい穴)が見つかったもの。 さらにこの牛の肉が肉骨粉(家畜飼料)に処理されていたことが判明しました。十四日夜、農水省の狂牛病対策本部が緊急に記者会見したもの。この肉骨粉が流通した場合、狂牛病の感染を広げる恐れがあり、取り返しがつかない事態になりかねません。流通防止に全力をあげるべきです。 農民連と畜全協は十二日、農水省と厚労省に対して(1)感染ルートの究明、(2)感染源とみられる輸入肉骨粉の全面禁止、(3)処分費用の全額保障など関係農民への万全の支援策、(4)「風評被害」防止と情報の開示などを要請。十三日には、日本共産党国会議員団とともに現地調査に入って、千葉県農林水産部長、白井市長、白井市の酪農民などから話を聞きました。 狂牛病は、脳が海綿状になり、神経障害を起こして死にいたる病気。イギリスをはじめヨーロッパなどで発生していますが、肉骨粉など動物性の飼料を介してしか感染しないはずの病気がなぜ日本に侵入したのかこのことを究明することは、水際での防疫を怠ってきた政府の責任です。政府は、狂牛病が発生しているヨーロッパからの肉骨粉の輸入を今年一月まで禁止せず(イギリスは九六年に禁止)、牛以外の豚、鶏などへの肉骨粉の給与を野放しにしてきました。 これまでのところ、感染の疑いがある牛が二歳まで北海道佐呂間町で飼われていたことがわかっていますが、輸入肉骨粉を給与した事実はありません。 農水省は、国内のすべての牛を対象に臨床検査するとともに、全国百四十二の飼料工場を調査していますが、飼料の製造・配送過程で豚・鶏用のエサが混入する可能性はなかったかなど、あらゆる角度から徹底的に調べるべきです。昨年の口蹄疫のように、感染ルートの究明をあいまいにすることは許されません。
〔解説〕狂牛病とは? (新聞「農民」2001.9.24付)
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[2001年9月]
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