「農民」記事データベース20010917-508-04

農民連シンポでの発言(1面のつづき)

関連/農業復権へ共同の力を


地域経済再生へ運動起こそう

大木寿さん(全労連・全国一般労組 書記長)

 ●私は「農民連のみなさんと親戚である」と思っています。私たちの労働組合には種屋、米卸、市場など農業・食糧関係で働く人たちがたくさんいるからです。

 農業が大切だと思うようになったきっかけは、福島県で私たち組合員が解雇されたときにいち早く福島農民連が支援にかけつけ、三百キロのお米をカンパしていただいたからです。「農民連は素晴らしい組織だ」と大感激をし、私たちも農業問題で頑張らなければと思いました。農民連のたたかいのあるときには、農水省前で座り込んだり交渉にも参加してきました。また、東京の千代田区、中央区議会にセーフガード発動を求める請願を出すなどの運動にも取り組んできました。

 私たちがたたかいをするときには、必ず農民連のみなさんにきてもらい、話してもらい、組合員が農業問題を知り、学べるようにしてきました。日本の農業と食糧を守ることは、自分たちの問題であると同時に、子どもや孫にとっても大切な運動だとわかってきました。

 いま長引く不況、不景気のもとで農村や商店街、さらには地域経済が衰退し、大変な苦境に追い込まれています。ところが、小泉内閣は「構造改革」でいっそう農家と中小企業をつぶしていこうとしています。営々と築いてきた農業や地場産業、中小企業を守ることは国づくりの基礎をつくる運動です。その運動を一緒にやり、雇用や農業を守っていきましょう。みなさんと力を合わせ頑張っていきます。


消費者も輸入食品の実態知ろう

為我井雅子さん(家庭栄養研究会会員)

 ●私は三十二年間、幼稚園の教諭をしていたとき、園児と一緒に鶏を飼って堆肥を作り、野菜を栽培し、一緒に調理をしました。また保護者とも手作りの会を開いたりして農業問題に興味を持つようになりました。

 地域では産直野菜ボックスをとったり、生協から買ったりしています。新婦人と農民連の「私の田んぼ」で田植えや稲刈りなどを行い、さらに大豆畑トラスト運動に参加し、その大豆で味噌や豆腐を作ったりして、トラストの仲間になってもらうよう呼びかけています。

 野菜ボックスに入っている生産者からのメッセージを丁寧に読みます。農業の大変さがわかります。そのうえで、農民の方にお願いがあります。野菜の料理の仕方、食べ方までアドバイスしてほしいのです。そうすれば野菜を無駄なく使いきることができるからです。

 不況の中で、消費者は少しでも安いものを求めています。私は農業の実態を知らないから、安い方に走っていると思います。「輸入されている安いネギは、日本で使用禁止の農薬が使われている。安くて食べた後で医療費がかかるんだから危ないよ」と話すと、みんなびっくりします。

 輸入攻勢に負け、外国に作り手を奪われていくと、消費者の求める安心できる品物が手に入らなくなるときがくると危倶しています。消費者も賢くなるために勉強しなければなりません。そのためにも新聞「農民」を愛読し、広げていくことが大事だと思います。


大切な「三つの健康」守ろう

江指隆生さん(聖徳大学教授)

 ●人間の健康は、体だけでなく心、そして社会の三つが良好な状態をいいます。

 日本は世界第一位の長生きの国ですが、その一番の原因は、伝統的な食生活を基盤として、近代化がうまく組み合ったことです。日本人は、動物性と植物性のバランスも、魚と肉の摂取比率もとても良い。野菜、きのこ類、海藻類、そしてお米を食べている。私の専門はミネラルですが、カルシウムやミネラルのバランスがとても良い食品を選んでみると、圧倒的に和食、日本の伝統食の素材です。

 しかし、これらの食品の中身が問題です。本当に味の良い、安全な、価格の納得のいく、しかも栄養のしっかりとした食品が必要です。「体と心、社会の三つの健康」を守るには、「地域」と「季節」を大事にした食生活から始まるのです。

 心の健康の第一は、食べ物に対するみずみずしい感受性であり、社会の健康の第一は地元の人々との交流であると、私は位置づけています。食べ物に接したとき、そういう感受性がいま失われているわけです。これは食べ物に対する感性、心の健全性の低下だと私と思います。

 マスコミ等では「安けりゃいい」という報道もありますが、安い物を買い続けた結果、本当の健康がどうなるのか、正しい情報が提供されていません。本当の健康を守ろうと思ったら、主食と主たるおかずは外国に依存できません。農民連の目指す方向は、まさに「三つの健康」を守るもので、私も学校、地域からやっていきたいと思います。


「準産直米」に取り組み元気に

横山昭三さん(農民連参与)

 ●私は三十四年間、米一筋の仕事をしてきました。農民連の運動のお役にたてればと思い、お話しします。

 「ほくほくネット」(農民連の東北・北海道産直ネットワーク)が二年前に結成されました。米卸を通してお米屋さんに直接届けるという「準産直米」方式が取り組まれ、お米の供給、交流の面で大きく発展していると思います。

 農民連さんは九九年二月、東京のお米屋さんのグループと初めて交流しました。彼らは「いままで付き合ってきた生産者と違う」と言いました。これをきっかけにお米屋さんが産地に九回出かけ、産地の農家が東京に十回来るなどの交流を行っています。

 消費者を含めた産直まつりも何回か行っています。昨年、東京・大田区でやった産直まつりは、千三百人の消費者も参加する大きなイベントになりました。

 この取り組みを通して、消費者の喜ぶ姿、農民連さんが一生懸命に販売に努力する姿を見たお米屋さんも感激し、元気になり「農民連から元気をもらった」と言っています。生産者もお米屋さんや消費者と触れ合う中で、「やっぱり頑張って米を作っていこう」と話してくれました。

 「ほくほくネット」の森谷事務局長は「大いに農民連の風を吹かせたい」と昨年の研究交流集会で発言していますが、私の周りでは吹き続けています。「準産直米」の取り組みが全国に広がっていったら素晴らしい“台風の目”になります。

(新聞「農民」2001.9.17付)
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2001年9月

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