農業復権へ共同の力を各界から多才なパネリスト五氏「食と命の安全」は国民共通の願い
農民連全国研究・交流集会感動呼んだシンポジウム「シンポジウムの五名の方々のお話を一生懸命に聞きました。私たちをいろんな面で応援してくれるんだなあと思い、今まで以上に米作り、野菜作りに力をいれます」(岩手県・菅原里枝さん)。「人と農業との切っても切り離せない関係、食と健康、それを守るための日本農業の重要性、農民連の運動の役割などを改めて強く考えさせられた」(石川県・川島俊信さん)。 「消費者として、いま農村がどうなっているかを直接、肌に感じることができると思い、シンポジウムに参加。有意義なお話を聞き、元気をいただきました」(東京都・佐藤正子さん)。 生産者にも消費者にも感動と感銘をズシーンと与えた農民連全国研究交流集会のシンポジウムは、東京・台東区の区民会館で八月二十八日に開かれました。
地域経済再生へ手をつなごうパネリストは、大木寿さん(全労連・全国一般労働組合書記長)、江指隆年さん(聖徳大学教授)、為我井雅子さん(家庭栄養研究会・会員)、横山昭三さん(農民連参与)、三上満さん(東葛看護専門学校長)の五人、コーディネーターは農民連の根本敬事務局次長です。「国民諸階層と連帯して、農業・農山村の復権を―いま求められるものは―」をテーマに、パネラーの方々はそれぞれの立場から発言しました。 大木さんは「二十一世紀は営々と築いてきた農業と中小企業、地場産業を守っていくことなしに地域経済を守り、再生することはできない」と指摘。そのために地域で共同を広げ、農民連とともにセーフガード問題などに全力をあげて奮闘していく決意を表明しました。
食の安静侵す外国依存農政江指さんは「人間の本当の健康を高めるためには、体だけでなく、心の健康、社会の健康を同時に高めることが必要」と強調。日本人が戦後五十年間で三十歳も平均寿命を伸ばした背景にあるものは伝統的な和食であり、外国に依存してはいけないことを栄養学の分野から詳しく解明しました。為我井さんは、不景気の中で安いものを求める消費者が増えている状況にふれ、「安い外国産のものを食べると、後で医療費がかかり大変と話している」と発言。「輸入農産物の危険性などの実態を知らせていくことが大事。そのためにも新聞『農民』の購読をすすめている」と述べ、「日本の農業を守り、日本人の体にあった食料を確保し、健康と命を守るために知恵を寄せ合っていこう」と訴えました。 横山さんは、米卸会社で三十四年間働いてきた経験をもとに、農民連との出会いにふれながら、「保守的と言われた米業界の中にも農民連、国民との共同に事業の将来をかけようとする人たちが生まれている」と語り、「安全な食糧、安全な水と空気は国民共通の願いであり、農民連の考えはすべての国民に受け入れられる」と指摘しました。
「農民連がんばれ!」熱い拍手三上さんは、農業の持つ教育力や、それを発揮させた東京都下の小学校での実践例を紹介。同時に小学校では農業学習が少なくなっていること、教科書の記述も政府の農業政策に追従した内容になっている問題点を指摘し、とくに歴史教科書問題でアジア諸国から批判を浴びている「つくる会」の公民教科書では農村を“田園”としか見ておらず、減反とか青刈りなど農村の実態にふれていない点を厳しく批判しました。「シンポジウムは感動の連続でした。『食は命の源』。安全、安心の生産に励む決意」と福島県の志賀きぬ子さん。これは参加者すべてに共通する思いです。「農民連がんばれ!」のパネリストの熱い期待に、参加者は大きな拍手で応えました。
(新聞「農民」2001.9.17付)
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[2001年9月]
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