「農民」記事データベース20010604-495-04

固定資産税・相続税問題を参院選の争点に

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 農地の相続税納税猶予制度=相続税は農地を宅地とみなして課税しています。しかし、農家の強い要求で一九七五年、宅地並みの評価課税と農地評価(農業投資価格)課税の差額税額を納税猶予する制度ができました。農業を続けるうえでも大きな役割を果たしています。


農水省交渉

相続税問題等で

 農民連、産直協、畜全協は五月十四日、固定資産税の引き下げと相続税納税猶予廃止の検討中止を求めて農水省と交渉しました。総務省交渉(四月二十三日)に引き続き行ったもの。

 交渉では「農地の相続税納税猶予制度は継続したい」「標準小作料を上回る固定資産税は請求不能とした最高裁判決と同じ立場だ」「造成費はケースバイケース」という回答を引き出しました。

☆  ☆  ☆

 農民連 農地は農地並み評価にするべきだ。三大都市圏以外でも標準小作料が固定資産税を上回っている実態を知っているか。

 農水省 上回っている事実は知っている。

 農民連 最高裁は標準小作料を上回る固定資産税の請求はできないという判決を下した。農水省にとってもいい判決ではないか。この判決にもとづき指導・勧告をするつもりはあるのか。

 農水省 指導・勧告はできないが、最高裁判決と同じ立場だ。

 農民連 農業用施設用地を農地並み評価課税となるようにしてほしい。造成費加算が高いので実態に応じて引き下げよ。

 農水省 造成費は、市長村長がケースバイケースで算出できる。

 農民連 農地の相続税の納税猶予制度が廃止されたら、農地を手放さなければならなくなる。農民の立場にたって営農が成り立つよう納税猶予制度を守りぬき、廃止しないように努力してほしい。

 農水省 猶予制度は継続したい。

 農民連 農事組合法人は、農業協同組合法にもとづいて設立されているのに、なぜ農事組合の事務所や倉庫が農協と同じように非課税とならないのか。

 農水省 総務省に言ったが、非課税にならないという返事だった。

 農民連 総務省に負けているのではないか。


“納税猶予制度”は都市農業の生命線

東京農民連

 農地の相続税納税猶予制度は、農業を続けていくうえで大きな役割を果たしてきましたが、政府はこの制度を廃止する動きを強めています。こうしたなかで、東京都農林漁業振興対策審議会は都知事からの諮問を受け「二十一世紀の東京農業が果たすべき役割と振興の方向について」との答申を昨年六月にまとめました。

 答申は相続税納税猶予制度について「地価の高い東京において、都市農業を継続するためには、生産緑地等における相続税納税猶予制度はその生命線ともいうべき重要なものとなっている。新たな基本法に位置づけられた都市農業を振興させるため、相続税納税猶予制度の堅持・拡充を強く国に求めるべきである」と強調しています。

 東京農業会議が九七年三月にまとめた「農家の相続税納入に関する実態調査」によると、一戸当たり平均課税評価額は都平均で十五億五千二百八十八万七千円で、平均納入税額は二億七千六百九十四万円。納入方法は転用、譲渡、物納などによるものが四九・八%(九九年、都市農業実態調査)となっています。

 とくに市街化区域では、相続税納税猶予制度を適用して農地を守り、農業を続けています。後継者を確保している営農意欲の強い農家ほど、納税猶予制度の継続に対する要求は切実。同時に、納税猶予のもとでも、相続税納入を体験した農家は「こんなに高い相続税では、三代相続したら農地はなくなってしまい、農業も終わりだ」と悲鳴をあげているのが実態。相続税納税猶予制度がなくなったら致命的な打撃になり、農地を手放さざるを得なくなることは必至です。

 都市農業検討報告書(二〇〇〇年十二月、関東農政局)によると、九八年十二月末現在、納税猶予特例適用農地等の累積は全国で約七万ヘクタール、そのうち東京は二千百十ヘクタール、六千六百十六人となっています。

 東京農民連は「相続税納税猶予制度は、東京の農業を続けるための生命線」と位置づけ、農家や農業団体と対話しながら、協力・共同を強め、都市農業を守るために奮闘しています。

(東京農民連 武山健二郎)

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(新聞「農民」2001.6.4付)
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2001年6月

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