固定資産税・相続税問題を参院選の争点に
農業つぶしの悪税をやめさせるチャンス農地をめぐる固定資産税、都市計画税、相続税などはこれでいいのか。農業収益を上回る課税が許されていいのか――このような税制は他に例がなく、歴代自民党政府が農地の宅地化推進政策を進めるなかでつくられた農業つぶしの悪税です。しかし最近、このような事態は許されないとする裁判所の判断が出されるようになり、私たちの運動も加わって事態は変わり始めています。一九九七年に静岡県浜松市の農家が勝ち取った「農業用施設用地を他の宅地と同じ評価課税するのは許されない」との東京高裁判決は、政府の制度改正を引き出し、昨年の「農業施設用地の農地評価」方式を生み出しました。私たちの取り組みが、これを実現させるうえで大きな力を発揮しました。 今年三月、最高裁は「宅地並み課税で小作料を増額してはならない」との判決を下しました。三大都市圏の市の市街化区域農地(特定市街化区域農地)の宅地並み課税は収益の十倍、二十倍が普通の状態で、これを小作農に転嫁してはならない、それは“経営の安定”という農地法の目的に反するというものです。この判決にもとづく運動はこれからですが、農業収益を上回る課税は三大都市圏以外の市街化区域農地(一般市街化区域農地)に広がっており、今後の運動が注目されます。 地方税法は市町村長に減免の権限を与えており、最高裁判決の精神にもとづき、小作地は無論、農地すべてに収益を上回る固定資産税等を市長村長が減免すれば、まさに地方からの税制改革ではないでしょうか。 政府は農地の相続税納税猶予制度の改廃に手をつけようとしています。農民連だけでなく、全国農業会議所、農業委員会も動き出しており、情勢はまさに私たちの取り組みを求めています。その絶好のチャンスが七月の参議院選挙です。税制問題を争点に押し上げ、大いに奮闘しましょう。
“納税猶予制度”堅持全国農業会議所と初めて懇談農民連の佐々木健三会長ら十人は五月十四日、東京・千代田区の全国農業会議所を訪ね、農地の相続税問題で懇談しました。同会議所企画農政部の伊藤嘉朗次長が応対。農民連が同会議所と懇談するのは初めてです。佐々木会長は、セーフガード発動を求める決議を採択するなど農業、農地を守るための各地の農業委員会の奮闘に敬意を表するとともに、全国会議所の果たしている役割の重要性を強調し、農地の相続税納税猶予制度を守るために協力・共同していきたいと述べました。 伊藤次長は「東京都農業会議は、納税猶予制度が東京農業を守る生命線だといって、制度を堅持するよう国会議員にも働きかけてきた。全国農業会議所も制度を堅持しようと何回も文書を出しているし、農水省にも要望してきた。農民連と同じ立場だ」と語りました。 また、伊藤次長は、三大都市圏だけでなく全国の市街化区域で標準小作料を上回る固定資産税となっている問題について、会議所でも調べて検討したいと述べました。引き続き農民連との懇談をしていくことを約束しました。
要望書は「昭和五十年の制度発足以来、累積で十三万人の相続人が六万六千ヘクタールの農地に適用(平成十二年十二月末現在)を受けており、とりわけ市街化区域内における適用が全体の二四%を占めるなど、都市地域の農業の維持・振興だけでなく、都市地域の良好な環境の確保にとっても欠くことのできない制度」と指摘し、「われわれ農業委員会系統組織は、制度の堅持に今後とも全力を傾けるが、政府・国会においても、生産現場における同制度の役割と機能を適正に評価し、制度の堅持を図るよう強く要望する」としています。
(新聞「農民」2001.6.4付)
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[2001年6月]
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