「農民」記事データベース20010528-494-05

全国食健連第12回総会

セーフガードの本格発動と国産を広げる運動を両輪に

関連/「他品目にも広げよ!」アメリカからの圧力


 国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(全国食健連)第十二回総会が、五月十三日都内で開かれました。総会には、中央団体十八、地方団体十九団体が参加。前日に開かれたシンポジウム(パネリスト5氏の報告)の熱気を反映して約八十人が活発に討論しました。

 坂口正明事務局長は報告で、「暫定ではあるが日本で初めて発動されたセーフガードは、私たちの運動の成果。生産者と消費者、流通・小売業者、林業や水産業など幅広い共同が広がっている。セーフガードの本格発動など政治を変える運動と、安全安心な国産の農畜産物を食べて自給率を上げる運動を両輪として進めよう」と提案しました。

 討論では「健康診断で、働き盛りの男性が不健康なのにびっくり。子どもの生活習慣病も増え、これは戦後の食生活の変化、農業つぶし政策の結果だ。“国産ものを食べよう”“日本の農業を守ろう”の大きな世論を」(茨城)という意見が出され、大きな反響に。

 また、教育や学校給食の取り組みも、「農協や自治体も巻き込んで地元米を学校給食に入れている」(茨城)「行政リストラで盲学校が民営に。しかし反対運動から“食と教育を守る会”が生まれた」(長野)、「地元食材はもちろん、食器も地元産のものを」など、各地から出されました。

 六月・七月の都議選、参院選に向けて、「街頭演説でも食料問題はとても関心が高い。都市部でも工夫して農業問題を争点にしていこう」などの発言も。

 この他、「農家、労組、などの協力で三千人規模の農業祭を実現」(大阪)、「雪印事件後の職場アンケートに、今の労働条件では製品に責任を持てないと三人に二人が回答」(明乳争議団)、「政府は稲経に農家の意見を入れたというが、現場では説明する側も、受ける側も理解できないのが実態」(富山)、「生活に係わる部分で自治体リストラが強行され、市町村合併も官民挙げて進められている」など、各地・各団体が実態と取り組みを報告。

 最後に、上山興士全税関委員長はまとめで「食健連も大衆的な統一戦線の大きな一翼を。ビデオ・ブックレットを活用して、セーフガード本格発動の署名に取り組み、WTO閣僚会議(十一月)にも積極的に係わろう」と呼びかけました。

 また、日本共産党の松本善明・衆院議員が「食健連運動は無限の広がりを持っている」とあいさつし、大きな拍手が送られました。


セーフガード

食健連、農民連が農水、財務省交渉

「他品目にも広げよ!」

 「暫定セーフガード発動の三品目をただちに本発動し、他品目のセーフガードの調査を開始せよ」全国食健連と農民連は五月十四日、農水省・財務省と交渉しました。政府は長ねぎ、生しいたけ、畳表(イ草)の三品目の暫定セーフガード(緊急輸入制限措置)の発動を四月二十三日に開始しましたが、ただちに本発動させ、他の品目にも広げさせようと交渉したもの。

 交渉には、食健連の坂口正明事務局長、農民連から佐々木健三会長ら二十二人が参加しました。

 代表(農民連・食健連)

 長ねぎ、生しいたけ、畳表(イ草)の三品目の暫定発動をしたのは、輸入の影響があるからやったのではないか。なぜ本発動がただちにできないのか。

 農水省 本発動をやるかどうかは検討中だ。

 代表 すぐ本発動できない理由があるのか。

  国際的にも認められる証拠固めをしている。判断ができないから、検討している。「構造調整」ができないと発動ができない。

 代表 「構造調整」が本発動の条件か。

  これだという内容は検討中なので、この場では明確に答えられない。

 代表 ねぎや生しいたけは二百日間の暫定セーフガードでは有効に作用しない。暫定期間が過ぎてからの方が有効だ。本発動の結論はいつ出すのか。

  検討している。いつ結論を出すかはいえない。

 代表 「調査中」「検討中」という言葉は、交渉の場で何百回も聞いてきた。ただちに本発動するよう努力してほしい。

 財務省との交渉で、担当者は「農水省の副大臣が中国と協議したが、いい結果はでていない。本発動できるかどうかは外国との関係もあり、いえない」と回答。


アメリカからの圧力

 アメリカ政府は四月下旬、日本政府に対してセーフガードの発動措置に重大な懸念を伝え、発動がWTO協定義務に従っているかどうかを厳重に監視すると圧力を加えてきました。

 こうしたなかで、五月九日に開かれた産業構造審議会特殊貿易措置小委員会では「セーフガード措置についての考え方」をまとめました。それは「確定的なセーフガード措置の発動を判断するに当たり、当該品目を生産する国内産業の調整の見通しについても十分に検討するべき」などという五項目で、「関係省庁とも認識を一致させ、関係業界にも周知徹底する」という、農業以外の他業種などにも広がらないようにという内容。それにもとづいて農水省は「構造調整」という条件をつけているのです。

(新聞「農民」2001.5.28付)
ライン

2001年5月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2001, 農民運動全国連合会