「農民」記事データベース20010423-490-08

“また、みんなで来たよ”

去年農業体験した東京の子どもたち


 夜行バスで早朝に到着

 「秋田のお母さん、久しぶり」(と抱きつく)「わぁ、この家、懐かしい」「おじいちゃん、おばあちゃん、久しぶり。元気だった…」

 東京・町田市の私立和光中学校三年生六人が三月十六日早朝、春休みを利用して秋田県大曲市の私たち(松倉農民連女性部)の家へ舞い込んできました。千葉みな美さん、大原まいさん、藤田真由さん、丸茂憲二君、佐藤知弘君、秋元啓希君が三日間、農作業の手伝いをしてくれました。

 訪ねてきた子どもたちは、昨年九月に和光中学の学習旅行で農作業の体験を受け入れたことから知り合いになり、東京で開催された女性部総会に参加した私たちを、そのうち四人が見送りにきてくれました。

 夜行バスに乗り、早朝に大曲に到着。家に入ってくるなり、「懐かしい」を連発。学校での出来事や東京駅での見送りが新聞「農民」(二月十九日付)に載り、掲載された紙面が学校中に配られ、大ニュースになったこと、文化祭、卒業式の写真、ビデオなど、「あれよ、これよ」と話す口元が、私たち夫婦の耳にひっきりなしにさえずってきます。

 私と農民連女性部会員の佐々木町子さんの家に別れて泊まりました。

 朝食には漬物を出しました。「あ、いぶりがっこ。あ、ナス潰。私これ大好き」と、皿に手を突っ込んでは私に怒られながら、頬張るしぐさに自分の子とかわらないと思えたのは、私の親心だったのでしょうか…。

 出荷と販売のお手伝い

 朝食後、男の子二人と父さんは、いぶりがっこの殺菌の手伝い、女の子二人は、あす対面販売するための漬物を袋に入れたり、ケースに入れたり、コードやシール張りを手伝ってもらいました。

 この夜は歓迎会で、近くの温泉へ。おにぎりとおかずを持って出発。露天風呂ではしゃぎまわり、持ち込みの焼きおにぎりとお鍋に作っていたおでんは、汁の果てまでなくなるほど。他のお客さんたちは「どこから来たの」「何かあって来たの」などと聞かれていました。

 二日目。疲れもなんのその、七時に起床。秋田市の秋田市民生協の五店舗に六人が別れ、「大曲松倉のがっこ」と書かれたオレンジ色の揃いのエプロンをしての対面販売。思いがけない子どもたちの応援に店長はじめ主任、常務、専務さんたちも喜んでくれ、売りさばく叫び声に満足の様子。

 最後の日はスキー場へ

 三日目は、二日間の手伝いのお礼で田沢湖スキー場へ。

 スキー、スノーボード、ミニスキー、家にあるもの全部持っていきました。食事つき、滑り放題のほうびに大喜び。雪中の遊びに堪能した様子でした。

 午後六時半頃から、手作りの料理を食べながらのお別れ会。「冬の手伝いも大変だったが、最後のスキーも楽しかった」「昼休みを使用しながらの肥料袋を敷いての尻滑りも良かった」「また、みんなで来たい」と声をそろえて言ってくれました。

 「何が良くて、この寒い冬に遊びに来るのかしら」と思いながら、来てくれた子どもたちに感謝の気持ちでいっぱいです。忘れかけていた子育てに、また手をかけられる喜びもあったし、とにかく気分的に清々しさと、さわやかさが家に残ったことは、いうまでもありません。

 バス停まで見送った後、家路に着いた時、私たち夫婦の間には、言葉がありませんでした。

(大曲松倉農民連女性部 佐々木冷子)

(新聞「農民」2001.4.23付)
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2001年4月

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