「農民」記事データベース20001204-473-05

“アジアの主食・稲守ろう”

遺伝子組み換えノー!世界行動集会


 「11・21遺伝子組み換え稲いらない! 世界行動」集会が、十一月二十一日、都内で開催され、百八十人が参加しました。

 「遺伝子組み換えNO!」という世論に押され、いま世界中で、遺伝子組み換え作物が後退を余儀なくされています。

 一方日本では、世論にまったく逆行して、農水省の旗振りのもと遺伝子組み換え稲の開発競争が本格化しています。農水省は「バイオテクノロジーは食糧問題や環境問題の解決の鍵を握るもの」と位置づけ、「イネゲノム計画」「グリーンフロンティア研究」などに莫大な予算を注ぎ込んで開発を推進。ここ数年は日本各地の公的な研究機関で、多国籍企業が行う遺伝子組み換え稲開発の下請け研究が急増しています。

韓国で農民十万人決起

 これに対してアジアの、とくに米を主食とする国々では「遺伝子組み換えは食糧不足の解決にはならない」「多国籍企業による種子支配を許すな」という声が高まっています。この秋には「アジア民衆キャラバン二〇〇〇 インドからフィリピン、そしてヨーロッパへ」が始まっており、インドでは千人が三千キロを歩き通し、韓国では同日二十一日、他の要求と合わせて農民十万人が決起、百六十一の郡で同時デモが行われました。また各国各地で学習会などが開かれています。

 また、アメリカでは「スターリンク」という未承認(食品として未承認、飼料としては承認済み)の殺虫性遺伝子組み換えトウモロコシが、タコスから検出されたことから全量が回収され、開発したバイオ企業アベンティス社は食糧部門からの撤退を余儀なくされました。日本でも同じスターリンクがコーンミールという食品から検出され、流通も分離されず、ほとんどチェックもないまま流入してくる輸入大国の実態が改めて明るみにでています(本紙先週号既載)

日本の運動が影響及ぼす

 この集会では、これらの世界の運動と状況が紹介され、「私たち日本の生産者・消費者も、アジアの稲作文化を共有する民衆の一員として、このアジア民衆キャラバンに参加し、遺伝子組み換え作物に反対します」との「世界行動決議文」が採択されました。

 集会では、農民作家の山下惣一さんが講演し、「今年は何もかも安い。原因は輸入。WTO協定で世界中の農産物価格が安くなり、日本では新農基法で価格保障を放棄してしまった。このままでは日本の農家は滅びてしまう。遺伝子組み換えはこの動きとセットになっている。これに対抗するには、規模拡大、コスト削減ではなく、環境保全型で“地産地消”の運動しかない」とよびかけました。

 韓国消費者保護市民連合のリ・ヘイ・スさんは「韓国では豆腐の分析結果を発表したのをきっかけに遺伝子組み換え反対の世論が高まり、運動のなかで政府の姿勢も変わってきました。韓国にとっても米は“命”。日本での動向は同じアジアの国々に大きな影響を及ぼします」と報告しました。

 「遺伝子組み換え食品いらない損愚(そんぐ)」をヒューマンファーマーズが披露しました。

(新聞「農民」2000.12.4付)
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2000年12月

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